2019 Fiscal Year Research-status Report
Backcross of inbred Suncus for Elucidating the Genetic Mechanism in Postoperative Nausea and Vomiting
Project/Area Number |
19K22647
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉野 繁一 東北大学, 大学病院, 講師 (00423765)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 正憲 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00404723)
三澤 計治 関西医科大学, 医学部, 講師 (10525885)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | 術後悪心嘔吐 / スンクス / 次世代DNAシークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
全身麻酔後の術後悪心嘔吐(PONV)に対する新しい予防法を開発できないだろうか?本邦ではPONVなどの嘔吐に関する基礎研究はあまり行われてはいない.その原因の1つに,頻用される実験動物である齧歯類は嘔吐できないという事実がある.実際,ラットやマウスは脳幹の嘔吐中枢が未発達で,いかなる嘔吐刺激を加えても嘔吐行動はまったく出現しない.そこでわれわれは最も嘔吐しやすい哺乳類であるスンクス(Suncus murinus,食虫目トガリネズミ科)に注目した.本研究の目的は遺伝学的に吐きにくい因子を持つスンクスを戻し交配によって新たに創出し,従来の吐きやすいスンクスとゲノム配列を比較することで,吐きにくさと関連がある遺伝子群を探索し,PONV予防薬の創薬に繋げることである.われわれのプロジェクトでは,世界でも本邦の紀和実験動物研究所でのみ維持されているLer系(Low emetic response:吐きにくい)とHer系(High emetic response:吐きやすい)の近交系スンクスを使用する.まずLer系のオス(ブリーダー)とHer系のメス(レシピエント)を交配させ,生まれたオスのうち,催吐物質ベラトリンで30分間,嘔吐を起こさなかった個体を次のブリーダーとしてHer系のメスと戻し交配させる.戻し交配を10世代繰り返すことで,Ler系が従来持つ「吐きにくい遺伝的因子」を遺伝的背景が均一なままのHer系に導入することが可能となる.初年度,われわれはこの戻し交配を開始した.交配は順調で大きな問題は生じていない.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトの最初の段階である近交系スンクス2系統の戻し交配を進めている.
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き10世代の交配を目標に戻し交配を進める
|
Causes of Carryover |
計画しているスンクス戻し交配に係る費用の支払い時期が2020年度となるため.
|