2020 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌オルガノイドを用いたpartialEMTによるクラスター浸潤機序の解明と制御
Project/Area Number |
19K22663
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 雅史 九州大学, 医学研究院, 教授 (30372741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寅田 信博 九州大学, 大学病院, 臨床検査技師 (00398075)
岩本 千佳 九州大学, 大学病院, 特任助教 (10752842)
藤田 逸人 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40611281)
森山 大樹 九州大学, 大学病院, 准教授 (70586859)
三好 圭 九州大学, 大学病院, 助教 (70755272)
大内田 研宙 九州大学, 大学病院, 講師 (20452708)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 膵癌 / オルガノイド / collective invasion / partial EMT / 膵星細胞 / エピジェネティック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒト膵癌オルガノイドを用いた共培養モデルを作成し、partial EMTによるクラスター浸潤機序の解明および制御を目的とする。当該年度は、まず、昨年度に樹立した膵癌オルガノイドおよび膵星細胞8サンプルによる共培養モデルをそれぞれ作成し、その形態変化および浸潤能を評価した。8サンプルのうち、高・中分化型は膵星細胞の有無によってその形態を変化させ、膵星細胞共培養下では腺腔構造を有する分化型を呈するのに対して、膵星細胞非存在下ではsolidな低分化型を呈した。一方で、低分化型は膵星細胞の有無にかかわらずSolidな低分化型を呈した。また、各分化度の膵癌オルガノイドの網羅的発現解析を行ったところ、低分化型では分化型よりも有意にEMT関連遺伝子の発現がいずれも増加していた。以上より、分化型膵癌は膵星細胞の有無によってEMT関連遺伝子の発現を変化させ、一方で低分化型膵癌は膵星細胞の有無に影響されることなくEMT関連遺伝子の発現が亢進していると考えられた。これは、分化型膵癌は膵星細胞の有無といった外的要因によって影響を受けるpartial EMTの状態であり、一方で外的要因に左右されず恒常的にEMT関連遺伝子の発現が高い低分化型膵癌はcomplete EMTの状態であると考えられた。また、分化型膵癌オルガノイドではCDH1などの細胞接着因子の発現が低分化型よりも高く、一方で低分化型膵癌オルガノイドでは単細胞化によるアノイキス耐性を有していたことから、分化型膵癌はpartial EMTを介したcollective invasionの形態を呈し、低分化型は恒常的にEMT関連遺伝子の発現が亢進しており、アノイキス耐性を有していることから単細胞浸潤を引き起こしていると考えられた。
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