2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒルシュスプルング病に対する新たな移植療法の試み~多様分化混合細胞シートの開発~
Project/Area Number |
19K22669
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
桑原 強 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30566906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉崎 尚良 金沢医科大学, 医学部, 講師 (00443490)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 腸管神経系 / 腸管神経移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
出生時の腸管神経系(ENS)の最も一般的な疾患は、先天性神経節細胞欠損として知られるヒルシュスプルング病(HSCR)である。ヒルシュスプルング病に対する細胞補充療法の開発は、①「安定したENCCs供給の難しさ」、②「移植ENCCsの定着率の低さ」から非常に困難なものになっている(Stamp LA et al. American journal of physiology Gastrointestinal and liver physiology. 2017)。これまで細胞療法に使う腸管神経細胞は、腸管や羊水などから、神経幹細胞を選択培養することで採取されてきたが、ヒトの治療利用に足るだけの神経幹細胞の量を賄うことができなかった。しかし近年、ヒト多能性幹細胞(iPSCを含む)からENCCsへの分化誘導法が発表され、この問題点がクリアされる可能性が出てきた(Fattahi F et al. Nature. 2016)。一方、ENCCs移植によるENS形成率の低さに関しては、大きな成果は報告されていない。我々は本課題で、マウス胎仔腸管発生の研究からENCCsの遊走を亢進する因子、抑制する因子を複数同定し、抑制する因子の分解酵素処理が移植神経細胞の定着に効果があること、さらに促進する因子を処理することで筋層への腸管神経の浸潤が促進することを明らかにした。またHSCR患者由来iPS細胞を作成し、腸管神経細胞に分化誘導したときの移植効率の違いを検証するため、17人の患者末梢血からiPS細胞を作成した。今後分化誘導を行い分化効率、遊走能の違いが移植効率に影響を持つかも併せて検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸管神経系の移植法を確立し、移植効率を促進する物質の探索まで進み、研究課題の進捗は計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究計画通りに課題は進行しているので、この進行状況を維持できるように実験を進める。
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Causes of Carryover |
予定していた実験の順番を入れ替えたため、使用金額がわずかに減少した。予定していた学会、出張がコロナ禍により中止になったため出張費が予定より少なくなったた。次年度繰り越し金額は、iPS細胞の分化誘導の条件検討に必要な化合物に充当する予定である。
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