2019 Fiscal Year Research-status Report
遺伝的リスクスコアに基づく生活習慣病ハイリスク群における発症抑制因子の同定
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19K22753
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田嶋 敦 金沢大学, 医学系, 教授 (10396864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
觀音 隆幸 金沢大学, 医学系, 特任助教 (50525409)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 遺伝的リスクスコア / 発症ハイリスク群 / 2型糖尿病 / 発症抑制因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病のゲノムワイドsingle-nucleotide polymorphisms (SNPs)関連解析研究の進展により、ゲノムワイドSNPsの全情報(各SNPの遺伝子型と疾患発症への寄与度)を統合し、個々人のゲノムワイド多遺伝子リスクスコア (genome-wide polygenic risk score: GPS)を得ることで、GPSに基づく疾患発症リスク予測や、発症ハイリスク群の特定が可能であることが示されてきている。 本研究では、「遺伝的には疾患発症ハイリスク群に属するにもかかわらず発病しない人たちには、発症を抑制する共通・個別の因子が存在する 」という仮説を設定し、石川県羽咋郡志賀町の地域住民ゲノムコホート「プロジェクトS.H.I.P」を対象として、この仮説の検証に取り組む。 本年度は、2型糖尿病をモデル疾患とし、BioBank Japanサンプルなどを用いた日本人集団2型糖尿病GWAS研究の非制限公開データ(NBDCヒトデータベースID: hum0014.v13.T2DMmeta.v1)より得たゲノムワイドSNPs情報を参照データとし、LD pred法によりコホート参加者1200名それぞれの2型糖尿病発症GPSを算出した。環境・生活習慣要因に着目し、GPSに基づくハイリスク群(GPS上位10%集団)において、ベースライン調査結果(生活習慣、既往症等)や診療情報(合併症、投薬履歴等)などの発症-未発症群間比較を行い、統計学的に有意な候補事象・因子を見いだした。同定した候補事象・因子については、コホート内の残りの90%集団においても同様の分析を行い、発症抑制因子となる可能性も併せて評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における主要課題であるコホート参加者の2型糖尿病発症GPSの算出ならびにGPSに基づくハイリスク群の特定を滞りなく実施することができ、本年度計画は概ね順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、遺伝要因に着目し、GPSに基づく超ハイリスク群(GPS上位3%集団)の全エクソームシークエンスを行い、生物情報学的解析から、疾患未発症者が共通・個別に有するタンパク質の機能喪失型あるいは獲得型候補変異を同定する。同定した候補変異サイトの遺伝子型は、コホート内の残りの97%集団においても決定し、発症抑制因子となる可能性について統計遺伝学的に検証する。また、同定した遺伝・環境因子とGPSとの交互作用や、遺伝・環境因子間の交互作用について統計学的に分析し、発症抑制因子としての特性を解明する。
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Causes of Carryover |
実験で使用する試薬について、調達方法を工夫した結果、当初計画より経費を節約することができたため、次年度使用が生じた。 この次年度使用額と、次年度請求する助成金を合わせて、発症の抑制や発症率の低減に関わる遺伝要因などを網羅的に探査することにより、「遺伝的には疾患発症ハイリスク群に属するにもかかわらず発病しない人たちには、発症を抑制する共通・個別の因子が存在する」という仮説を詳細に検証することが可能となる。
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Research Products
(8 results)