2022 Fiscal Year Research-status Report
分解後プロテオミクス:法医学からの新規プロテオミクス
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19K22756
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石井 晃 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30252175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名取 雄人 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80610104)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 法医学 / 法医鑑定 / 法医生化学 / ペプチド分析 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体試料における目的タンパクの定量法を開発し、次いで、実検体で切断されているペプチドフラグメントを同定し、法医診断に資するタンパク(ペプチド)マーカーの探索を行うことを目的とする。対象となるタンパクとしては、熱中症で上昇するミオグロビン、心不全で上昇するNT-proBNPが挙げられる。 本年度は、昨年度に引き続き、標準尿サンプルからのミオグロビンの検出条件について検討した。法医鑑定においては、多くのサンプルが腐敗変性の影響を受けていることを考慮し、腐敗尿におけるミオグロビンの挙動を検討した。サンプルは4種類とし、新鮮尿、新鮮尿を濾過滅菌したもの、37度で1週間放置した腐敗尿、この腐敗尿を濾過滅菌したものである。タンパク沈殿により得られたミオグロビン(チューブあたり20 ng)にこれら尿サンプル40 microLを加えて溶解し、37度のドライオーブンにて1週間放置した。上記の試料40 microLに電気泳動用サンプルバッファーを13 microL添加し、95度5分間加熱変性後、電気泳動を施行し、ウェスタンブロッティングを行った。メンブレンを、1000倍希釈抗ヒトミオグロビン Ig G(ウサギ)と2000倍希釈抗ウサギ Ig Gに結合させた後、ExWestLumi plus (ATTO)で発色させ、ChemidocMPでバンドの検出を行った。すると、いずれの試料においてもミオグロビンのバンドは検出されなかった。これは、新鮮尿、腐敗尿のいずれにおいても、37度1週間放置ではミオグロビンが分解されると考えられ、その原因としては、細菌による分解というよりも、尿中のプロテアーゼなどによる分解や、尿中分子との結合が想定されるが、総合的には、尿中の分子による分解が考えやすい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も、コロナ禍による登校制限などの要因が重なり、十分な実験検討が行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の実験では、新鮮尿にも含まれる尿中の分子、特にプロテアーゼが尿中ミオグロビンを分解しており、細菌の関与は少ないと想定された。したがって、今後、タンパクによる酵素的分解が主であることの証明、ついで分解のタイムコースと検出されうるミオグロビン濃度を産出し、さらなる条件検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
前述したように、細菌によるものでない尿中ミオグロビンの分解が示されたため、尿中ミオグロビン検出法の開発が遅延している。そのため、さらに研究計画を延長し、実験助手の人件費に充当することとした。
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