2019 Fiscal Year Research-status Report
ストレッチで中心動脈を柔らかくできるか -実施方法の新規開発と作用機序の検討-
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19K22830
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
西脇 雅人 大阪工業大学, 工学部, 講師 (10635345)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 動脈スティフネス / 中心動脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、4つの検討から、研究目的の達成を目指す計画をしている。その1年目の課題として、バランスボールを用いた一過性のパイロット研究を行い、体幹自体を引き延ばすストレッチ運動が中心動脈スティフネスの低下を引き起こすか、検討することを目的としていた。 対象者を12名として、1)座位安静条件(対照条件)、2)体幹ストレッチ条件(実験条件)のそれぞれの試行をランダムの順で各対象者に実施した。1回の試行は、それぞれ30分として設け、その前後に、Carotid-Femoral Pulse Wave Velocityで評価する中心動脈のスティフネスと頸動脈エコーと中心血圧から算出する頸動脈コンプライアンスを評価した。 その結果、対照条件では変化が認められなかったのに対し、体幹ストレッチ条件では、cfPWVの有意な低下が認められ、研究目的のストレッチを行うことで、中心動脈が柔らかくなることが示された。さらに、頸動脈コンプライアンスの結果においても、対照条件では変化がなかったのに対し、体幹ストレッチ条件では増大する傾向が認められた。現在、超音波エコーで得られた画像の分析を自動分析プログラムを用いて再解析を進めており、確定的な結果を得る予定である。 こうした結果から、バランスボールを用いた体幹ストレッチ運動は、中心動脈スティフネスを低下させることが示されるとともに、ストレッチ運動に伴う動脈スティフネスの低下が、動脈部位自体の引き伸ばしによって生じている可能性を推察させるものであった。今後、動脈自体の引き延ばし状態を定量化するための新規指標を開発し、生理機序の検討、解明を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、計画していた通り、概ね順調に、バランスボールを用いた一過性の影響を検討する実験を終了することができた。目標としていた10名以上からデータを取得し、得られた結果も、仮説を支持するのに十分な変化を示していたところである。しかし、新型コロナウイルスの影響で、当初の計画を超えるような20名規模まで対象者を増大させることはできなかった。 また、超音波エコー画像の分析を重点的に進め、主要指標をサポートするための2つ目のデータについてもデータが揃いつつあり、当初の計画通りか、それ以上に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ストレッチ運動の伸展刺激自体が動脈を直接的に引き延ばすか、動脈の引き伸ばし度を直接計測可能な新規の観察方法を考案、確立するための検討を重ねていく予定である。特に、超音波エコーを用いて連続縦断的な画像を取得し、Photoshopなどの画像編集ソフトで自動分析プログラム構築して実行することで、新規方法を見出していく予定である。 さらに、新規の測定方法が確定した後、ストレッチを行う実験を行い、その効果を、新規開発指標を用いて定量化を目指していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス対策の影響で、三密を避け、対象者の健康と安全を確保するため、ヒトを対象とした実験室での実験を回避しなければならい場面が多々あり、消費期限などがある消耗品の購入を見送った。そのため、当初の計画から差異が生じ、次年度使用額が生じる結果となった。 次年度は、実験再開の目処がたった後、消耗品を購入し、研究を進めていきたいと考えている。
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