2019 Fiscal Year Research-status Report
Safe and efficient selection of differentiated cells by stage-specific gene expression from auto-erasable vector
Project/Area Number |
19K22945
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西村 健 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80500610)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | 分化誘導 / 神経幹細胞 / SeVdpベクター / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
分化誘導を促進しつつ、分化細胞を選択することが可能な遺伝子導入系を構築するモデルとして、ES細胞から神経幹細胞を誘導する系を用いた。すでに我々は、独自の自動除去型SeVdpベクターに、自殺遺伝子を搭載させると共に、miR-9標的配列をウイルスポリメラーゼ遺伝子(L遺伝子)に付加することによって、誘導されてきた神経幹細胞を純化することに成功している。しかし、分化誘導開始から選択終了までに70日ほどかかったことから、より短い期間で高純度な神経幹細胞を得る方法の構築を試みた。 まず、ベクター除去をより効率良く行うために、miR-9に加えてmiR-125の標的配列を用い、さらに、L遺伝子のみならず、ウイルスポリメラーゼの補助因子であるP遺伝子にもこれらのmiRNA標的配列を付加した。その結果、このようなベクターを用いると、従来よりも20日ほど短縮して神経幹細胞を分離することに成功した。 また、分化促進遺伝子としてBrn4を用いて、神経幹細胞分化を促進することによって、神経幹細胞を得るまでの時間を短縮できるか検討した。その結果、Brn4をベクターに追加搭載することによって、神経幹細胞への分化が促進されたが、ベクターからBrn4が恒常的に発現することによって、細胞の性質に異常が生じた。そこで、Brn4遺伝子にmiRNA標的配列を付加することによって、Brn4の発現時期をコントロールした結果、より安定して神経幹細胞分化が促進された。 以上の結果より、miRNA標的配列の最適化と、分化促進遺伝子の追加によって、ES細胞からの神経幹細胞を誘導する際の、分化促進と細胞選択を可能にする系の構築が概ね終了した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ES細胞から神経幹細胞を誘導する際に用いるベクターの構築と、最適化を概ね終了させることができた。 また、分化促進遺伝子の搭載についても、搭載した遺伝子へのmiRNA標的配列の付加によって、分化促進のタイミングが制御できることが確認された。 以上の理由により、本計画は概ね順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ES細胞→神経幹細胞→神経細胞、という分化系を構築するために、神経幹細胞から神経細胞への分化において、分化を促進する遺伝子や、ベクター制御に用いるmiRNAをデータベース等を用いて調べる。そして、それらの遺伝子やmiRNA標的配列を、神経幹細胞誘導・選択ベクターに追加搭載することによって、ES細胞から神経細胞の誘導を、一つのベクターを感染させるのみで可能にすることを試みる。 また、神経細胞以外の分化誘導系への、これらの分化誘導・選択系の応用も検討する。
|
Causes of Carryover |
今年度は、予定よりも試薬が安価で調達できたため、未使用額が生じた。次年度には神経細胞分化誘導や、他の分化誘導を行う予定であり、これまでの神経幹細胞分化誘導よりも、多くの高価な試薬を使用する予定であるため、未使用分を次年度の予算に回した。
|