2022 Fiscal Year Annual Research Report
チベット仏教カダム派の思想研究に向けた基礎資料の構築
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19K22998
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
崔 境眞 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任研究員 (30785415)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ツァンナクパ / カダム派 |
Outline of Annual Research Achievements |
【最終年度の研究実績】 ①ツァンナクパ著の計9点のテクストに対する書誌情報を完成した。その過程で、Stockton UniversityのYi Jongbok教授と共同研究会を開催し、完成したデータの英訳および検討を行った。②この書誌情報の活用方法について、オーストリア科学アカデミーのPascale Hugon博士と相談し、同博士率いるプロジェクト「A Gateway to Early Tibetan Scholasticism」にこの書誌情報データの一部を公開することに合意した。そうすることによって、(i) 「カダム全集」所収の全作品についての書誌情報を集める同プロジェクトに貢献するとともに、(ii) この研究成果が国際学界において有効に活用されることが期待できる。③ツァンナクパの思想と、彼と師弟関係にあったツルトンなどの思想を比較する研究を通じて、ツァンナクパの思想的な位置付けを行った。その成果を拙著の一部としてまとめ、出版した。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 ①「カダム全集」に含まれるツァンナクパ著の計9点のテクストに対して、文字の判読が可能な作品に関しては、全文をデータ化した。②各テクストについて詳細な書誌情報(題目、写本上で確認できる著者名、文献のジャンル区分〔注釈、概論書、伝記など〕、主要なテーマ区分〔中観、唯識、密教、論理学など〕、内容のアウトライン、写本の状態〔文献全体の長さ、欠落ページ、貝葉ナンバー、縮約字の解読方法、そのほか写本に見られる書写上の特徴など〕、著作宣言・廻向偈・奥書などの翻訳)をまとめた。それを英訳し、校閲が終わったものを順次、Pascale Hugon博士率いる上述のプロジェクトのウェブサイトにて公開している。③上記のデータに基づきながら、ツァンナクパの思想的な位置付けを考察し、その上で、彼と師弟関係で繋がっている周辺人物の思想との比較研究を行った。その成果を論文としてまとめ、刊行した。
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Research Products
(6 results)