2019 Fiscal Year Research-status Report
Children's Acquisition of Degree Abstraction: Seeking Evidence from IPL
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19K23059
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
服部 亮祐 神戸学院大学, 人文学部, 講師 (50848744)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | Degree Abstraction / Clausal Comparatives / Measure Phrase / 理解度の相関性 / モダリティ間選好注視法 |
Outline of Annual Research Achievements |
モダリティ間選好注視法(Intermodal Preferential Looking; IPL)を用いて、27人の英語母語話者の3-6歳児を対象に実験を行い、Degree Clausal Comparatives (DCC, e.g. This table is taller than that door is wide)とMeasure Phrase(MP, e.g. This table is 1 meter tall)、それぞれの理解度を測定し、相関性を調べた。IPLは、認知発達研究によく使われるもので、一方のモダリティ(音声)で与えられた刺激とマッチするものを別のモダリティ(画像)で選択できるかを調べる方法である。被験者の子供は、文(音声)を聞き、二つの並べられた画像(うち一つが音声とマッチするもの)を見る。被験者がマッチした方を見た割合(Match %)が長かった場合、あるいはマッチした方を見るまでにかかった時間(Latency)が短かった場合、この文を理解したと考えられる。実験結果は、被験者の目の動きを録画したビデオをコーディングし注視時間を分析することによって得られた。分析の結果、3-4歳のグループ(13人)のMatch%/Latencyについて、相関性は見られなかったが、5-6歳のグループ(14人)のLatencyについて若干の相関性が見られた(r2=0.2857, t(12)=2.19, two-tailed p=.049008*, by Pearson’s Linear Correlation)。この結果は、形式意味論で議論されてきた理論上のパラメターであるDegree Abstraction Parameter (DAP)が、DCCとMPの獲得において実際に存在し、その設定の度合いが二つの構文の獲得度合いに影響を与えていることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、米国在住の3-6歳児の英語母語話者を被験者とした実験の結果を分析するものであるが、新型コロナウィルスの感染拡大により、2020年初旬より、被験者を探すのが困難となっており、現在は実験で使用していた施設を含め大学(米国コネティカット大学)が閉鎖されているため、実験を実施することができない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新型コロナウィルスの感染拡大が収まり、実験再開が出来次第、さらなる被験者に対する実験の実施を行い、引き続き結果の分析を行いたい。また、実験のコントロールとして、大人の英語母語話者に同様の選好注視法を用いた実験を行い、子供の結果と比較したい。実験再開が難しくなった場合、現在までに得た実験結果を異なる視点から分析することも考えている。例えば、実験刺激のclausal comparativesには2種類の構文(Attributive Clausal ComparativeおよびAdverbial Clausal Comparatives)を用いているが、それぞれの理解度にどのような関係が成り立つかを詳しく調べる等が考えられる。コーパスを用いた先行研究では、前者(Attributive)が後者(Adverbial)よりも早く獲得されることがわかっているため、前者の刺激に対する子供の理解度の方が高くなることが予測される。
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Causes of Carryover |
現在新型コロナウィルスの影響で実験が行えない状況が続いているため、次年度に実験再開の見通しがついた際に、新たな実験刺激作成のためのソフトウェアや実験や分析に使用するパソコンやモニター等の機材、消耗品等に使用する予定である。
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