2020 Fiscal Year Research-status Report
縄文人に初期農耕集団的特徴はみられるか?:古病理および形態的特徴に基づく検討
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19K23117
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐宗 亜衣子 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (10532658)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 古病理 / 古人骨 / 縄文時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
初期農耕集団では食物の栽培・加工技術の未熟さに由来する低栄養やストレスの影響に由来する痕跡があらわれることが知られている。それらを分類すると、低栄養の影響を示す特徴や食性変化を示す特徴、生業や生活環境の変化を示す病理痕跡の3つに分類できる。本研究では縄文時代人骨におけるこれらの病理痕跡の骨考古学的な調査により、早期から晩期へと植物への依存度が高まることで縄文集団にどのような身体的影響が表れるのかを明らかにすることを目的としている。 今年度は、前年度に検討した骨表面の形態的特徴と出現範囲を基準とした骨膜炎の判定方法をもとに、各遺跡での骨膜炎の程度の違いを定量的に評価することを目的とし、対象地域や対象時期を増やして検討する予定であった。しかし、古人骨の収蔵されている機関へ調査に赴くことが制限される状況となり、標本データを増やすことが難しかった。そこで、改めてアクセス可能な地域の古人骨標本を選定し、それら標本の出土遺跡の情報や人骨の出土状況、帰属年代、標本現状の確認を行った。現在、新潟県に収蔵されている縄文人骨を中心に4遺跡30個体ほどの選定が終了している。次年度はこれらの資料の古病理データを収集する予定である。 さらに、骨膜炎以外の調査項目についても検討し、骨長、脊髄神経孔の大きさ、部位ごとの関節炎とクリブラ・オルビタリア、エナメル質減形成の有無についても調査することとし、それらの評価方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
4月以降、現在にいたるまで新型コロナ感染症の影響により他地域への移動や機関への立入りが制限または禁止され、計画に大幅な変更が必要となった。また、新型コロナ感染症の影響により、新たにメディア授業へ対応が必要となり、授業準備及び学生対応に非常に多くの時間を費やす必要が生じ、研究活動へ支障が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
選定した古人骨資料を調査し、口腔衛生指標、骨膜炎痕跡、推定身長などのデータを収集して分析を行う。データ数としては十分ではないが、何らかの知見は得られるものと考えている。首都圏にある古人骨の収蔵機関において活動することが可能になり次第、調査を行い、遺跡数及び標本数を増やし、十分なデータ数の確保につとめる。また、生物考古学的観察のみではなく、骨コラーゲンや歯石などの理化学分析についても検討する。
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Causes of Carryover |
4月以降、現在にいたるまで新型コロナ感染症の影響により他地域への移動や機関への立入りが制限または禁止され、計画に大幅な変更が必要となった。それにより旅費の消費が減り、次年度使用額が生じている。次年度は新たに理化学分析を計画しているので、試料採取に必要な物品や消耗品の購入、分析費用を支出する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Book] 鳥居龍蔵の学問と世界2020
Author(s)
徳島県立鳥居龍蔵記念博物館編、鳥居龍蔵を語る会編
Total Pages
578
Publisher
思文閣出版
ISBN
978-4-7842-1998-8