2021 Fiscal Year Annual Research Report
Social change and the transformation of postpartum folk illness: comparative study between Korea and Taiwan
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19K23132
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
諸 昭喜 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 助教 (80848359)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 病の変化 / 台湾 / 韓国 / 東洋医学 / 産後風 / 月内風 |
Outline of Annual Research Achievements |
「国と文化、時代にのみ発見される病気についてどう理解するか」という根本的な問題意識から、産後ケアや病いにおける複数の現場でのエスノグラフィと比較研究をしていた。これまでは研究の中心は、文化特有の病いと社会・文化との関係を、患者の語りに焦点を当てて分析することを中心に行ってきた。この科研では2つの側面で研究を拡大させた。第一に、韓国という地域の研究テーマを多様化し、産後風や冷え症の治療に対する民間療法(ヨモギ)について取り上げ、日本語で出版される。第二に、産後の文化的様相について台湾の研究にも地域を広げ、台湾での中医学の受容と産後の症状についての解釈について研究を進め、英語で出版される。 ある文化の中で生きて行く人々が共通的に持っている身体観と病観念は、その文化を集約的に見せてくれると言っても過言ではない。医学的信念体系は他の信念と同じように社会によって条件づけられている。人々は病と病の治療について経験的に蓄積された知識を持っているし、その知識は多くの部分は歴史的に形成されて、文化的背景の中で変化しながら構成される。病に対して理解することはその社会の文化を理解することの核心的要素になりえる。文化による病気の認識と治療の変化に対する可能性は、同時的分析として同時代の多くの文化を理解することができる可能性を開き、通時的でも疾病の歴史的変化に対しても論ずることができるようになる。したがって疾病の認識と治療の慣行を把握することは一つの社会が共有する過去と現在の文化を理解するのに重要なだけでなく、未来の再構成のための起草作業になった。
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