2019 Fiscal Year Research-status Report
The Image Transformation of Indigenous Oaxacan Migrants in the United States: An Anthropological Case Study of the Festivals Held by Oaxacan Hometown Communities
Project/Area Number |
19K23138
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山越 英嗣 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (00843822)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | メキシコ移民 / 先住民 / オアハカ / ゲラゲッツァ / アイデンティティ / ロサンゼルス |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年7月にロサンゼルスでの現地調査を実施し、同郷者会OROが実施するゲラゲッツァ祭に参加した。そのさいに、主催者や観客へのインタビューを通じて州政府や現地の「非オアハカ人」との連携がどのような状況にあるのかを調査した。その結果、OROがとくに現地の韓国人コミュニティと深い関係をもっており、互いのイベントへ組織のメンバーを招待しあっていることが明らかとなった。これはおそらく、もともとピコ・ユニオン地区に韓国人のコミュニティが存在していたところに、1980年代からオアハカ移民たちが徐々に流入していったことが背景にあると考えられる。 OROの代表から、韓国人のなかにはOROのダンスグループに所属し、音楽や踊りを習得しているものもいるという情報を得た。このことからも、「文化的分離主義者」として閉鎖性が批判されるオアハカ先住民移民コミュニティも、実際には「他者」に開かれているという仮説が少しずつ証明されつつある。このような異なる文化的背景をもつ2つの集団が、どのようにして良好な関係を築くことが可能となっているのかについては今後の課題としたい。現時点での仮説として、オアハカ先住民移民たちが有している先住民特有の概念、たとえば相互扶助を意味する「ゲラゲッツァの精神」などに基づくボランティア活動が、鍵となっていることが考えられる。今後、こうした先住民性にもとづく精神が発露する場面が他にもみられないか考察を深めるという課題が浮き彫りとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年3月にロサンゼルスでの現地調査を実施する予定であったが、コロナウィルスの拡大のため、断念せざるを得なくなってしまったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究には現地調査による関係者への聞き取り調査が必須となるため、可能であれば、2020年の夏以降に調査を実施したいと考えている。しかしもし事態が収束しない場合は、メールのやり取りや、スカイプなどを通じたインタビューを実施することも検討している。
|
Causes of Carryover |
2020年3月に予定していた海外調査が、現地でのコロナウィルスの拡大により中止となったため、一部航空運賃や宿泊費、謝金などを次年度に繰り越すこととなった。
|
Research Products
(2 results)