2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Image Transformation of Indigenous Oaxacan Migrants in the United States: An Anthropological Case Study of the Festivals Held by Oaxacan Hometown Communities
Project/Area Number |
19K23138
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
山越 英嗣 都留文科大学, 文学部, 准教授 (00843822)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | オアハカ移民 / ゲラゲッツァ / 互酬性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年8月に、ロサンゼルスのオアハカ移民同郷会OROが実施する祝祭、ゲラゲッツァの現地調査を実施した。調査では、ORO代表や祝祭に参加していた複数の観客にインタビューを行った。その結果として、コロナウィルスが猛威を振るった2020年、2021年のゲラゲッツァは中止となったが、祝祭の名称にも使われているサポテコ語の「ゲラゲッツァ(Guelaguetza)」が意味するところの、「相互扶助の精神」が発揮されたことがわかった。たとえばそれは、コロナ禍において収入が途絶え困窮してしまった人びとに食料を配布するプログラムや、亡くなってしまった同朋の遺体を故郷であるオアハカに送り返すことなどの行為で現れた。州政府により対面的接触が禁止されるなか、こうした活動はFacebookやInstagramなどのSNSを通じて呼びかけが行われ、実施された。「ゲラゲッツァ」とは、本来はオアハカの村落で伝統的になされてきた慣習であり、日本でいうところの「結」や「もやい」にも似た制度である。それはたとえば、結婚式や葬儀などの場面で食事を持ち寄ったりすることが典型である。こうしたオアハカの「ゲラゲッツァ」が、ロサンゼルスにおいても移民コミュニティで形を変えながら生きており、かつ、それがSNSを通じて発揮されたことは、大変興味深い事例といえる。今後は、伝統的なゲラゲッツァとロサンゼルスの移民たちが行うゲラゲッツァにいかなる類似性や相違点がみられるかを比較検討していきたい。
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