How has the public sphere been built in deliberations of Saiban-in trials?: qualitative and quantitative analysis of Saiban-in's perceptions

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K23158
• Research Institution: Chuo University
• Principal Investigator: 島 亜紀 中央大学, 研究開発機構, 機構助教 (80715417)
• Project Period (FY): 2019-08-30 – 2021-03-31
• Keywords: 裁判員裁判 / 質的分析 / 評議 / 公共性の空間 / 公共意識 / 自由主義 / 共和主義 / 討議民主主義

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、裁判員経験者の発言を実証的に分析することにより、裁判員裁判の「評議」に関する裁判員による認識を明らかにし、その結果に基づき、評議の場の理想的なあり方やそれを可能とするための方策を探求することを目的とするものである。
分析対象である資料の一部については分析を終えており、その結果として、本研究の目的である裁判員による評議の認識や経験の分析、さらには評議がいかなる「公共性の空間」を構築しているかを理論的・実証的に明らかにする一つの仮説が得られている。
初年度である本年は、上記の仮説をさらに検証するために、残されている資料の分析を行うことで、裁判員制度の評議に関する実証研究をさらに進めた。具体的には、裁判員経験者の意見交換会のうち、東京高等裁判所管内にある裁判所において実施されたものの記録を収集、ソフトウェア上で分析可能な形に収納し、その分析の前提となるコーディングの作業に取り組んだ。
さらなる質的分析は次年度に実施する計画となっているが、コーディングの過程において、意見交換会の実施方法上の問題や資料としての問題について明らかとなった部分もあった。これらの点については、今後、裁判員経験者の評議に関する認識について研究を進めていく上で、問題点を克服できるような形でインタビューなどを実施していきたい。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の対象となる質的データは膨大であるため、初年度の計画では、東京高等裁判所管内の11の裁判所において2010年から2019年の間に実施された「裁判員経験者の意見交換会」の議事録の分析に取り組むこととした。
対象となる東京高等裁判所管内の裁判所で実施された意見交換会の議事録を収集し、分析が可能な状態で収納するところまでは全て終わっている。この分析対象となる記録の数は344であり、意見交換会に参加した裁判員経験者の数は約1万5千人である。
初年度は、上記の分析対象となる資料のコーディング作業を予定通り進められているため、おおむね順調に進展しているとした。

Strategy for Future Research Activity

2020年度は本助成の最終年度にあたるため、当初の計画の通り、前半においては質的分析のための議事録のコーディング作業を進め、年度の後半において分析結果をまとめ、公表する予定である。

Causes of Carryover

申請時点での計画では、学会発表や資料収集のための国内旅費・外国旅費を計上していたが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、多くの学会が中止となっている。したがって、当初計上していた旅費については、予定通り開催された場合には計上通りに使用するが、中止となった場合には、書籍購入代や資料印刷代、あるいはパソコン周辺機器のために使用する予定である。