2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Dynamism of Environmental Governance on the Riverbed of the Iwaki River
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19K23250
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
寺林 暁良 北星学園大学, 文学部, 講師 (60847656)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 環境ガバナンス / ガバナンスのダイナミズム / 複数の利益 / 岩木川 / ヨシ原 / 過少利用 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、青森県の岩木川河川敷ヨシ原の管理を事例として、どうすれば環境ガバナンスがダイナミズムをともないながらも維持されるのかという要件を抽出することである。 2019年度は、青森県中泊町岩木川下流部のヨシ原管理に関連して国土交通省や中泊町役場、現地住民へのヒアリング調査を実施したほか、比較対象として大阪府高槻市鵜殿地区でのヨシ原管理について、高槻市役所へのヒアリング調査を実施した。また、青森県立図書館などで関連する文献収集も実施した。 2020年度は、新型コロナウィルス感染症の影響で現地調査を実施することはできなかったものの、質的データ分析ソフトを活用してこれまでに収集した調査データの分析を進めたほか、他の環境ガバナンスの事例との比較検討も進めた。 これらの作業の結果、例えば以下のような着目点が浮かび上がった。第一に、地域住民の世代交代による自然資源との関係の希薄化とそれによるガバナンスの論理の変容である。「近代化」以前の生活と自然資源の利用が密接に関係していた世代が少なくなる中で、環境ガバナンスにはこれまでの資源利用とは異なる動機付けが必要になっている。第二に、行政機関の担当者の入れ替わりによる環境ガバナンスの論理の変容である。行政機関の担当者は比較的短い期間で交代するが、その過程で環境ガバナンスにおける情報が取捨選択され、単純化・明確化している。第三に、行政機関や地域住民の環境ガバナンスの論理の論理の変容に対する研究者(専門家)の役割である。研究者がコーディネーターとして環境ガバナンスに携わりつづけることは、特に行政機関の担当者交代や地域住民の世代交代の際に、環境ガバナンスの論理構築に大きな影響を与えうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は、新型コロナウィルス感染症流行の影響により、やや遅れている。2019年度は計画通り青森県中泊町岩木川下流部のヨシ原管理に関連して国土交通省や中泊町役場、現地住民へのヒアリング調査、比較対象として大阪府高槻市鵜殿地区でのヨシ原管理関連して高槻市役所へのヒアリング調査、青森県立図書館などでの文献調査を実施できたものの、2020年度は北海道および本務校の方針を遵守し、他都府県との往来を控えざるを得なかったため、現地調査が実施できなかった。既存データの整理と分析、他の環境ガバナンスとの比較については進めることができたが、地域住民へのヒアリング調査を追加的に行う必要があったことから、研究成果の取りまとめも一部遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間延長により、前年度に実施できなかった岩木川下流部地域住民へのヒアリングを実施するとともに、他の環境ガバナンス事例との比較もさらに進め、その結果を学会発表や学術論文として取りまとめる。さらに、今年度以降の学術書の出版に向け、原稿執筆を行う。 なお、新型コロナウィルス感染症の流行が続く場合は、地域住民へのヒアリングを非対面手段で実施することにより、滞りなく研究を進めることとする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症流行の影響により、青森県岩木川をはじめ、比較対象となる国内各地でも調査を実施できなかった。そのため、調査の交通費や宿泊費にあてる予定であった金額が次年度使用額となった。
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Research Products
(2 results)