2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K23270
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
土田 拓 徳島大学, インスティトゥーショナル・リサーチ室, 助教 (90842196)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 離農 / 離農家 / ライフヒストリー / 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、少子高齢化が一段と進んでいる現代農山村の持続性に離農者が及ぼす影響を、ライフヒストリーの視点から明らかにすることを目的としている。 令和元年度は、調査地である北海道において離農がどのように展開してきたのか、その地域的特性を把握するための文献調査を行うとともに、離農者のライフヒストリーに関する現地調査を実施した。具体的には、戦後、酪農専業化と規模拡大が進んできた北海道紋別市の内陸部にて、流氷、海霧を伴う冷涼な気候や開墾作業に不向きな重粘土壌と向き合ってきた農家の生活戦略、離農のタイミングと要因、離農後の生活様式や社会関係等について聞き取り調査を行った(11月)。また、離農前の暮らしに関しては、一部、既存の聞き取りデータ及び写真資料を有しているため、その分析にも着手した。 離農者が集落の持続性に及ぼす影響を検証するためには、いわゆる集落機能(資源管理機能や相互扶助機能など)に対する離農後の関わりだけでなく、離農された方にとって、人生を送る「場」として集落がどのような意味をもっているのか、個人的価値の持続性に関する検討も必要である。そのためには離農前と離農後を合わせて生活史の全体像を把握することが求められる。上記のように、離農前の暮らしについては、一部聞き取り資料や生活記録を有している。本年度の現地調査により、離農後の暮らしに関する資料が得られたことで、研究最終年度に離農者の生活史の全体像を分析する基盤を整えることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、調査地である北海道において離農がどのように展開してきたのか、その地域的特性を把握するための文献調査を行うとともに、離農者のライフヒストリーに関する現地調査に着手し、研究最終年度に離農者の生活史の全体像を分析する基盤を整えることができた。調査機材の調達等の準備作業も含めて、研究計画通りに進展しており、「おおむね順調に進展している。」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度は、離農者の生活史の全体像の分析、研究会等での発表を通じた分析の精緻化、補足調査、研究成果の発表を予定している。補足調査については、研究計画を前倒し、2020年3月の実施を試みたが、北海道で新型コロナウイルス緊急事態宣言が発令されたため、実現できなかった。令和2年4月時点では、国の緊急事態宣言が全都道府県へと拡大されており、研究計画通りに現地調査や研究会での発表を行うことができるか不透明な状況にある。そこで、一部の聞き取り調査をテレビ会議等に置き換える可能性や、研究期間の延長の可能性も検討しつつ、研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
研究計画の前倒しで3月に予定していた現地調査と研究会が、新型コロナウイルスの流行により実施できなくなったため。次年度、新型コロナウイルスの流行がおさまり次第、同じ用途で執行予定である。ただし、新型コロナウイルスの流行状況と研究の進捗にあわせて、聞き取り調査をテレビ会議へ変更できるかどうか等、代替方法についても検討する。その場合は、旅費から物品費へと振り替え、テレビ会議用の環境を整える。
|