2019 Fiscal Year Research-status Report
Empirical analysis of the effects of performing arts in the early years on non-cognitive skills
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19K23301
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
飯田 星良 追手門学院大学, 地域創造学部, 特任助教 (30846316)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 非認知能力 / パフォーミングアーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、STEAMM (Science, Technology, Engineering, Arts, Math, and Medicine)に関する議論において芸術が他の学力の育成に貢献することが指摘されるなど芸術の役割が見直されている。本研究では芸術活動の教育的な効果に注目し、義務教育期に近年導入されているダンスなどのパフォーミングアーツの経験が非認知能力を涵養するという教育効果を持つことを定量的に明らかにする。 これまで申請者は、小学生時の学校外における芸術活動が学歴や個人所得に正の影響を及ぼすことを明らかにしてきた。教育投資である学習塾への通塾や健康資本につながるスポーツ活動と比べて、教育効果が期待されにくいとされる芸術活動が直接的に個人所得を引き上げるとは考えにくい。そこで、芸術活動の影響は非認知能力を介したものであると仮説を立てた。非認知能力は学力テストで測れるような認知能力とともに、個人の労働生産性をあげる重要な能力であることが指摘されている。実際に、小中学生時のパフォーミングアーツの経験によって認知能力のみならず、これまでの学力指標では捉えられない非認知能力が高められると報告している実証研究もある。 ただし、日本における芸術教育に関するデータの蓄積は少ない。そこで、芸術が非認知能力を介して個人所得に影響を及ぼすという仮説検証のために本年度は独自の調査によってデータを構築した。質問票には非認知能力の中でも主にグリット(やり抜く力)とマインドセットを測る指標を含めた。調査では調査会社を通して調査会社が保有するモニターに回答を依頼した。幼少期の芸術活動についての回顧データとともに、現在の非認知能力や所得に関するデータを得ることで長期的な影響を捉えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までで、調査票の設計およびウェブ上での調査が完了している。幸いインターネット調査を実施予定であったために新型コロナウイルスの影響を強く受けることもなく、調査を実施することが叶った。計画段階で初年度に設計と調査、次年度に分析および報告を予定していたので、本研究はおおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は初年度の調査で得られたデータを用いて、パフォーミングアーツ経験の有無が非認知能力に対してどのような影響があるのか傾向スコアマッチング法で比較分析する。活動経験の有無で2つのグループにわけると、パフォーミングアーツを学校外で行う人はそもそも芸術的性向が高いなどの傾向が生じ、外生的なトリートメントにならない。学校外経験がある人はもともと芸術的性向が高いとする。学校外での経験の効果を捉えるために、同様の芸術的性向を持ちながら学校外での経験がある人とない人のペアを見つけ出し、彼らの非認知能力を比較する。得られた結果は2020年9月にマレーシアで行われる国際会議にて報告予定であり、そこで得られたコメントを活かしてより分析精度を上げる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、質問票の検討を重ねアンケート調査の実施時期が予定より遅くなったため。アンケート調査の実施は当該年度に行ったものの、支払時期とタイムラグが生じた。
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