2020 Fiscal Year Annual Research Report
日本で就職している元中国人留学生のキャリア形成:職業的アイデンティティに着目して
Project/Area Number |
19K23346
|
Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
叶 尤奇 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (40851291)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 職業的アイデンティティ / キャリア発達 / キャリア満足度 / 転職意思 / ジョブ・パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本で就職している元中国人留学生の職業的アイデンティティ・ステイタスを明らかにし、彼・彼女らの職業的アイデンティティ・ステイタスとキャリア・アウトカムとの関連を検証することである。以下に、最終年度で実施した研究の成果および研究期間全体を通じて実施した研究の成果について説明する。 最終年度では、前年度の予備調査を通じて作成したアンケート調査票を用いて、本調査を実施し、日本で働く元中国人留学生237名のデータを収集した。それらのデータを分析した結果、日本で働く中国人元留学生の職業的アイデンティティ・ステイタスは、達成型、拡散型、不確かなコミットメント形成型、探索的モラトリアム型、モラトリアム型、早期完了型に分類することができた。また、職業的アイデンティティとキャリア・アウトカムとの関連を分析した結果、中国人元留学生のうち、拡散型とモラトリアム型に該当する者はキャリア満足度、ジョブ・パフォーマンス、年収が比較的低い一方で、転職意思は高いことが明らかになった。それに対し、職業的アイデンティティが達成型に至った者のキャリア満足度、ジョブ・パフォーマンス、年収は高く、転職意思も高かった。さらに、コミットメント形成、コミットメントとの同一化、深い探求、自己不信、コミットメントの柔軟性という職業的アイデンティティの5つ下位要素は、キャリア満足度、転職意思、ジョブ・パフォーマンス、年収に影響を与えていることが実証された。 研究期間全体の成果として、日本で働く元中国人留学生の職業的アイデンティティのあり方を明らかにし、職業的アイデンティティが彼・彼女らのキャリアに与えた影響も明確にした。これにより、日本で働く中国人元留学生のキャリア形成のプロセスをより深く理解することができ、彼・彼女らのキャリア発達の支援策を作成するための手がかりを考案したと考えている。
|