2020 Fiscal Year Annual Research Report
Revisiting Graphitization process: effects of organic template on carbon material designing
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19K23572
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤澤 一範 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 助教(特定雇用) (00724634)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 炭素材料 / 炭素化 / 黒鉛化 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は垂直配向カーボンナノチューブ(VACNT)付グラファイトグリッドを利用し,炭素前駆体の炭素化・黒鉛化過程の詳細な理解を深めた.炭素前駆体にはバイオマス・有機残渣である籾殻やセルロースナノファイバー(CNF)に加え,ポリアクリロニトリル(PAN)に由来するナノファイバーを採用した.また炭素化・黒鉛化過程がある程度知られている酸化グラファイトやナノダイアモンドについても再度黒鉛化挙動を調べるために前駆体として採用した.炭素化・黒鉛化を進行させるため,アルゴン雰囲気下の黒鉛化炉によって1200℃から3000℃の温度範囲にて300℃毎の段階的な熱処理を行った.熱処理前に黒鉛様構造を既に有している酸化グラファイトでは熱処理に伴い欠陥の修復および面内結晶性の向上が見られたが,平面構造が変化することはなかった.一方でポリアクリロニトリルや,籾殻から発生した炭化ケイ素ファイバーの黒鉛化では,外壁より乱雑に配向した黒鉛様構造が成長しており,炭素前駆体であるPAN分子の配向や炭化ケイ素ファイバーの表面構造が黒鉛様構造の配向を支配する要因になったと考えられる.またナノダイアモンドは熱処理に伴いダイヤモンド構造が多層の黒鉛球構造に変化した.これらに対しCNFは異なる挙動を示した.通常CNFは粉末として取り扱われることが多いが,グラファイトグリッド上ではVACNTが形成する間隙において薄膜を形成していた.そしてCNFは熱処理温度の上昇に伴って薄膜状のハードカーボンを形成したため,電子顕微鏡による内部構造の観察が容易となった.またCNFでは熱処理後に空隙を有したセル状構造が見られ,熱処理温度の上昇に伴いセル状構造の空隙に沿って黒鉛様の平面構造および平面構造の積層が発達する結果となった.以上より本研究では炭素化・黒鉛化挙動における新たな知見が得られた.
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