2019 Fiscal Year Research-status Report
3軸足底圧センサを用いた成人期扁平足患者における足底剪断力測定
Project/Area Number |
19K23599
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 伸弥 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (10845861)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 成人期扁平足 / 歩行解析 / 足底圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人期扁平足患者は、足部変形に伴う痛み、バランス能力の低下により、異常な歩容を呈することが知られている。多くの場合、骨切り矯正手術により、症状や歩容は改善するものの、矯正の定量的指標がないため、外科医の経験に左右されるのが現状である。本研究の目的は、3軸方向の力学センサを用いて、簡易な歩行解析デバイスを開発し、成人期扁平足患者の歩行を術前後で解析することで、新たな矯正指標を確立することである。 本デバイスは、解剖学的指標を参考に、小型力学センサをインソール上に5つ配置した靴型デバイスである。本年度は、「診察室で簡易に計測できる」ことを目的として、試作機を開発した。Bluetoothを介してAndroidモバイル端末へデータ通信を行うことにより、測定靴のコードレス化を実現した。また、2時間程度の連続計測が可能な充電性能も有している。さらに、簡易な操作でデータを可視化でき、保存・書き出し可能なAndroidアプリケーションの開発も行い、成人期扁平足患者への最適化を行った。 本研究は患者を対象とした観察研究であり、東京大学医学部附属病院における倫理委員会の承認を得て、健常者における計測を開始している。10m通常歩行での計測を10試行、7名で行い、安全にデータ収集可能であることを確認した。計測データは、各歩行周期で分割/標準化すると、ピーク値をとる時刻は被験者間で概ね一致しており、有効な指標であることが示唆された。 今後は、成人期扁平足患者を対象に、矯正骨切り手術前、術後6カ月における計測を遂行し、重心動揺計や臨床スコアなど、既知のパラメータの収集も引き続き行う予定である。また、デバイスの精度評価のため、健常者において、同一被検者内での複数回計測を行い、再現性の評価を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
デバイス開発については、概ね順調に進捗した。倫理委員会の承認も得て、患者群においても計測可能な状態である。 しかし、患者群の測定は未だ開始できていない。 患者群の被検者は、東京大学医学部附属病院整形外科で成人期扁平足の矯正手術を予定している方からリクルートする計画であるが、当院では、新型コロナウイルス流行に対応するため、医療資源の集中をしている。この影響で、成人期扁平足の矯正骨切り術といった、緊急性のない機能再建手術は、すべて延期としている。 対象患者がいないため、計測は不可能な状態である。患者群におけるデータ収集開始の目途が立たず、「遅れている」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス流行が鎮静化し、対象手術が再開され次第、患者群における計測を開始する予定である。患者群での測定に遅れが生じる可能性が高いため、健常者群の測定を先行して進める方針とする。 本研究は、手術患者における術前後の計測を行い、縦断的に観察する計画である。大幅な遅れが見込まれる場合、術前患者と健常者データの比較を行うことで、成人期扁平足の病態・重症度を反映する指標を確立することも検討している。 また、本研究で用いるデバイスは、試作段階のデバイスであり、臨床応用を見据えれば、精度検証が必須である。健常者群において、複数日程にわたる計測を行うことで、測定データの再現性を評価する予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:概ね順調に研究が進んでいるが、必要以上に経費をかけずに済んだ。 次年度使用計画:次年度以降の経費のかさむ研究に使用する計画である。
|