2019 Fiscal Year Research-status Report
RNA/DNAハイブリットを形成するDNA修復機構の構造基盤
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19K23733
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
上原 了 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 助教 (70842590)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | RNase H2 / DNA修復 / RNA/DNAハイブリッド / BRCA2 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNA/DNAハイブリッドによるDNA修復の制御機構を明らかにするため、DNA損傷部位に局在するRNA/DNAハイブリッド加水分解酵素RNase H2と、そのリクルーターであるBRCA2の予測される結合配列を大腸菌で大量発現・精製(1)し、それらのタンパク質を用いて相互作用の解析(2)を行った。また、RNase H2によるRNA/DNAハイブリッド認識の分子メカニズムを調べるため、RNA/DNAハイブリッド基質とRNase H2の酵素基質複合体X線結晶構造解析に向けた変異体の構築(3)を行った。 (1)については、RNase H2を構成するRNASEH2A、RNASEH2B、RNASEH2C遺伝子のN末端にそれぞれ6xHisタグを付加したタンパク質を同時に大腸菌で発現させ、酵素活性を有するRNase H2ヘテロ三量体の構築と精製に成功した。また、BRCA2のRNase H2の推定結合部位(リピートペプチド)をGSTに融合させたコンストラクトを作製し、大腸菌組み換えタンパク質として大量発現・精製に成功した。 (2)において、得られたタンパク質を用いてNi-NTA agaroseを用いてプルダウンを行ったところ、RNase H2のみが沈降しBRCA2リピートペプチドの沈降は見られなかった。 (3)については、RNA/DNAハイブリッド基質と安定な複合体を形成可能なRNase H2変異体を得るため、活性中心のアスパラギン酸をアラニンに置換した変異体を作製し、RNA/DNAハイブリッド加水分解活性の消失を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNase H2の野生型および解析に用いてる変異体の構築は全て完了し、大腸菌での発現・精製に成功した。また、BRCA2のRNase H2結合予測部位であるリピートペプチドをGST融合タンパク質として発現させることで、可溶化に成功し精製することができた。一方で、これらのタンパク質の結合が弱く、プルダウンアッセイでは有意な相互作用が確認できなかった。RNase H2不活性変異体は結晶化に向けて精製後に6xHisタグをプロテアーゼにより除去したが、この過程で著しく収量が低下した。この不活性変異体とRNA/DNAハイブリッド基質の複合体の結晶化条件のスクリーニングは現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにBRCA2とRNase H2の直接の結合が確認できていないため、RNA/DNAハイブリッドを介した結合の調査や抗体を用いた検出を行う。結合の強さを定量的に評価するため、表面プラスモン共鳴分析を行う。結合の最小単位と考えられるペプチドより広い部位を含むコンストラクトを構築し、RNase H2との結合を調べる。RNase H2不活性変異体の精製条件を最適化し、結晶化条件スクリーニングに向けてより高い収量を目指す。特に、現状の問題点であるプロテアーゼ処理による収量低下を改善するために、RNase H2の3つの遺伝子のいくつかからタグを除去したコンストラクトを作製して精製を行う。
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Research Products
(10 results)