2020 Fiscal Year Annual Research Report
骨標的化高分子ミセルを利用したFGF23発現制御法の確立と腎線維症治療への展開
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19K23812
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
山下 修吾 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (30845730)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | DDS / ポリペプチドミセル / 熱応答性 / CKD-MBD / FGF23 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はペルオキシソーム増殖剤活性化受容体δアゴニストであるGW0742を封入した骨選択性に優れた高分子ミセルを創製し、慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)を起因とした腎線維化症の治療戦略の構築を目指すものである。 令和二年度では、前年度に開発した骨指向性ならびに熱応答性を示すポリアスパラギン酸-アスパラギン酸/フェニルアラニン不規則性コポリペプチドミセル(DDF)の詳細な骨分布特性を評価するとともに、GW0742封入DDF(GW-DDF)によるFGF23分泌制御効果について、CKD-MBDモデルマウスを用いて検討した。 FITC標識GW-DDF尾静脈内投与後のマウス下肢骨を蛍光免疫染色することで、骨基質に分布する細胞とGW-DDFの分布特性を評価した。その結果、GW-DDFはハバース管近傍の骨基質に埋め込まれた骨細胞からDDF由来の緑色蛍光が観察された。更に骨髄質近傍の骨細胞を観察したところ、突起状の蛍光が観察された。突起状のシグナルはDDFが骨細管ネットワークを介して、骨基質に埋め込まれた骨細胞まで送達された可能性を示唆している。 次にGW-DDFの有用性を評価するべく、アデニン-リン給餌型CKDモデルマウスを作製し、GW-DDFを尾静脈投与するとともに45℃の温浴にてマウス下肢骨を10分間加温した。その後、経時的に尾静脈より採血し、血中FGF23濃度の時間的変化を評価した。GW-DDF加温併用群において、投与後6時間でFGF23濃度は582pg/mLを示し、投与前と比較してFGF の分泌を1/5、GW投与群の6時間時点におけるFGF23濃度と比較して1/7まで分泌を抑制した。また、この有意な分泌抑制は18時間目まで確認された。 本研究で得られた成果はCKD-MBDなど骨関連疾患治療を目的とした医薬品の開発に対して有用な基礎的情報を提供するものと考えられる。
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