2019 Fiscal Year Research-status Report
免疫反応における小胞体ストレス応答の機能的意義の解明
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19K23848
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
折茂 貴是 和歌山県立医科大学, 医学部, 特別研究員 (80843036)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / コレラ毒素 / 免疫アジュバント / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
コレラ毒素(Cholera toxin : CT)は免疫アジュバントとして免疫グロブリンや炎症性サイトカインの産生を誘導することが知られているが、その分子機序は不明な部分が多い。我々はこれまでに、CTの構成分子であるコレラ毒素Bサブユニット(CTB)がマウス腹腔マクロファージに作用し、リポ多糖(Lipopolysaccharide : LPS)と協調して炎症性サイトカインInterleukin-1β(IL-1β)の産生を誘導することを明らかにした(Int Immunol, 2019)。このCTBによる免疫アジュバント作用の分子基盤を解明する過程で、CTBが小胞体ストレス応答を誘導するという知見を得た。小胞体ストレス応答は、異常なタンパク質の蓄積を小胞体ストレスセンサーにより感知し、異常なタンパク質の修復や分解除去を行うタンパク質の品質管理機構である。しかし、IL-1β産生誘導に小胞体ストレス応答がどのように関与しているのかはよくわかっていない。本研究ではCTBによるIL-1β産生誘導における小胞体ストレス応答の機能的意義の解明を試みた。 初年度では、CTBによる小胞体ストレス応答に、CTBの細胞内侵入が必要かどうかを検討した。CTBの細胞内侵入には、細胞膜上の糖脂質ガングリオシドGM1との結合が必要である。GM1欠損マウス由来の腹腔マクロファージでは、CTBによる小胞体ストレス応答が顕著に障害されていた。このことから、CTBによる小胞体ストレス応答に、GM1を介したCTBの細胞内侵入が必要であることが明らかになった。また小胞体ストレスセンサーの阻害剤を用いた検討から、小胞体ストレスセンサーIRE1αがLPSとCTBによるIL-1β産生誘導に関与することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進んでいる。初年度ではCTBによる小胞体ストレス応答がGM1依存的かどうか、どの小胞体ストレスセンサーがLPSとCTBによるIL-1β産生誘導に関与するかを明らかにすることを目指していた。当初の計画通り、CTBによる小胞体ストレス応答GM1依存性であること、小胞体ストレスセンサーIRE1αがIL-1β産生誘導に関与することを示唆する知見が得られたので、概ね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、小胞体ストレス応答センサーIRE1αとその下流にある遺伝子について、阻害剤、siRNA、遺伝子欠損マウスなどを用いた検討を行う予定である。また薬剤誘導IRE1α発現細胞株を用いてIRE1αとCTが相互作用するかどうか等を検討する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Cholera toxin B induces interleukin-1β production from resident peritoneal macrophages through the pyrin inflammasome as well as the NLRP3 inflammasome2019
Author(s)
T. Orimo, I. Sasaki, H. Hemmi, T. Ozasa, Y. Fukuda-Ohta, T. Ohta, M. Morinaka, M. Kitauchi, T. Yamaguchi, Y. Sato, T. Tanaka, K. Hoshino, K. I. Katayama, S. Fukuda, K. Miyake, M. Yamamoto, T. Satoh, K. Furukawa, E. Kuroda, K. J. Ishii, K. Takeda, T. Kaisho.
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Journal Title
International Immunology
Volume: 31
Pages: 657~668
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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