2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K23959
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和氣 正樹 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (30847124)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 線維芽細胞 / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、線維芽細胞コラーゲン産生において、Serum Starvationが、線維芽細胞のコラーゲン産生に重要である点を示した。そこでは、mRNAの産生増加によらないコラーゲンタンパクの産生増加の可能性が考えられた。これまで、多くの場合TGF-βによるコラーゲン産生亢進プロセスが一般的と説明されていたが、産生されるコラーゲン量はTGF-β刺激に対して多いことが分かった。この現象から、非筋線維芽細胞におけるコラーゲン合成は抑制的に制御されていることが示唆された。 創傷治癒の過程における線維芽細胞の作用の一つとして、線維芽細胞がコラーゲン分子を中心に分泌し、他の細胞の足場として機能することで治癒が進むと考えられている。この組織障害部位では、組織は血流が乏しく、酸素や栄養も乏しい可能性がある。このような過酷な環境で、線維芽細胞はコラーゲンを分泌しなければならない。つまり、これまでに見出したSerum Starvationによるコラーゲン産生は、組織の過酷な環境の再現と考えられた。そこで、Serum Starvationのほかに過酷な細胞の環境を再現するため、代謝の阻害に注目して研究を行ったところ、新たに産生環境やミトコンドリア代謝の阻害剤によりコラーゲン分子が増加することを見出した。 過酷な環境下でもコラーゲン産生が進むことから、コラーゲン合成の制御にミトコンドリア代謝も深くかかわっている可能性が示唆された。アミノ酸代謝などのダイナミックな変化がコラーゲン産生の制御に影響しているとしてさらに研究を進めていく予定である。
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