2019 Fiscal Year Research-status Report
大腸菌で最も拡散しているβラクタマーゼの水平伝播因子の解明
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19K23965
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野口 太郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (10847578)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 薬剤耐性大腸菌 / 水平伝播 / 伝播因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
βラクタム薬は細菌感染症治療の中心を担う治療薬であるが、βラクタマーゼを産生する細菌はβラクタム薬耐性となり治療抵抗性を示し、細菌感染症の治療成績を悪化させる。TEM-1βラクタマーゼは、国内外を問わず大腸菌における最多のβラクタマーゼであり、βラクタム薬耐性化に寄与する。TEM-1保有大腸菌の増加要因として、プラスミドなどの可動性遺伝子による水平伝播が推測されている。しかし、どんな可動性遺伝子がどの程度TEM-1の拡散に寄与しているのか、未解明である。そこで、TEM-1保有大腸菌の全ゲノムデータを菌株間で比較することで、TEM-1伝播を担う可動性遺伝子を明らかにしたいと考えている。全ゲノムデータを用いてTEM-1可動性遺伝子を横断的に検証した報告はなく、本研究によってTEM-1拡散要因に対する理解の深化や新たな水平伝播様式の発見が期待できる。また、薬剤耐性菌研究の発展に寄与するだけでなく、薬剤耐性菌の拡散防止や可動性遺伝子を対象とする新規の抗菌薬開発への貢献が期待できる。 2019年度は、収集菌株の一部について次世代シーケンサーを用いた全ゲノム解析を行い、可動性遺伝子の検索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に起こった新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い感染症臨床業務の負担が増し研究業務が制限されていることから、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの菌株について次世代シーケンサーを用いた遺伝子配列解析に早期に着手し、 ただし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの終息が予測できないため、 公開データベース上の薬剤耐性大腸菌の遺伝子配列解析を優先して行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い研究に遅れが生じ、当初の予定より実験計画に遅れているため。
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Research Products
(2 results)