2019 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞由来間葉系幹細胞の免疫修飾作用を用いた炎症性腸疾患の治療効果と機序解明
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19K23983
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
関 晃裕 金沢大学, 医学系, 特任助教 (00733859)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 炎症性腸疾患 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は炎症性腸疾患モデルを用いiPS細胞からの間葉系幹細胞(MSC)への分化誘導とiPS由来MSCの炎症性腸疾患に対する治療効果および炎症修飾機序の詳細解明を目的とする.令和元年度は以下の項目について研究を行った.①iPS由来MSCの確立.ヒト末梢血単核球を使用しiPS細胞を作成した.このiPS細胞に対して, FGF, ITSなどを添加することにより形態的にMSCに類似した細胞の分化誘導を行うことに成功した.この細胞に対して分化誘導キットを用いることにより脂肪細胞ならびに骨細胞への分化誘導が可能であることを確認した.更に表面抗原をFlow Cytometryにて解析した.分化前のiPS細胞と比較し,間葉系幹細胞の表面抗原マーカーとされるCD73, CD90, CD105を発現する細胞割合の増加を確認した. 3世代の継代を行ったiPS由来のMSCよりRNAを抽出し,DNA Microarray法を用いて遺伝子発現解析を行った.クラスター解析ではiPS由来のMSCはiPSおよび既存のMSCと区別された.現在,遺伝子発現の詳細について解析を行っている.②炎症性腸疾患モデルマウスに対する間葉系間質細胞の治療効果の検討を行った.3%DSSを飲用水内に添加することにより炎症性腸疾患モデルマウスを作成した.炎症性腸疾患マウスに対してマウス由来の間葉系間質細胞を投与し,間葉系間質細胞を投与したマウスにおいて体重減少が有意に少ないことを確認した.本年度の研究成果はiPS細胞に由来するMSCの樹立し,間葉系間質細胞による炎症性腸疾患モデルマウスに対する有用性を示した点において,炎症性腸疾患に対するiPS細胞を用いた治療のトランスレーショナルリサーチの基盤形成に努める貴重な成果である.令和2年度はこの結果を基にiPS細胞由来のMSCと体細胞由来のMSCの抗炎症効果の差異を明らかとする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は以下の項目について研究を行った.①iPS由来MSCの確立.ヒト末梢血単核球を使用しiPS細胞を作成した.このiPS細胞に対して, FGF, ITSなどを添加することにより形態的にMSCに類似した細胞の分化誘導を行うことに成功した.この細胞に対して分化誘導キットを用いることにより脂肪細胞ならびに骨細胞への分化誘導が可能であることを確認した.更に表面抗原をFlow Cytometryにて解析した.分化前のiPS細胞と比較し,間葉系幹細胞の表面抗原マーカーとされるCD73, CD90, CD105を発現する細胞割合の増加を確認した. 3世代の継代を行ったiPS由来のMSCよりRNAを抽出し,DNA Microarray法を用いて遺伝子発現解析を行った.クラスター解析ではiPS由来のMSCはiPSおよび既存のMSCと区別された.現在,遺伝子発現の詳細について解析を行っている.②炎症性腸疾患モデルマウスに対する間葉系間質細胞の治療効果の検討を行った.3%DSSを飲用水内に添加することにより炎症性腸疾患モデルマウスを作成した.炎症性腸疾患マウスに対してマウス由来の間葉系間質細胞を投与し,間葉系間質細胞を投与したマウスにおいて体重減少が有意に少ないことを確認した. 上記のように概ね予定通りの研究進捗を得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果はiPS細胞に由来するMSCの樹立し,間葉系間質細胞による炎症性腸疾患モデルマウスに対する有用性を示した点において,炎症性腸疾患に対するiPS細胞を用いた治療のトランスレーショナルリサーチの基盤形成に向けた貴重な成果である.令和2年度はこの成果を基にiPS細胞由来のMSCと体細胞由来のMSCの抗炎症効果の差異とその詳細について,炎症細胞への影響の詳細と遺伝子発現プロファイルを比較することで明らかとしていく予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は研究室に存在した過去の研究試薬を使用することが可能であったこと,他の研究者が動物実験施設で繁殖した実験用マウスを使用可能であったことなどから,物品の購入が,想定より少なく済んだため,次年度への残金が生じた. ただし,次年度はより多くの研究試薬の購入が必要となることが予測されるため,令和元年度に未使用であった予算を使用する予定である.
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