2020 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞由来間葉系幹細胞の免疫修飾作用を用いた炎症性腸疾患の治療効果と機序解明
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19K23983
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
関 晃裕 金沢大学, 医学系, 特任助教 (00733859)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 炎症性腸疾患 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症が関与する消化器疾患として,炎症性腸疾患が知られ,近年本邦においても増加している.一方で,治療としては抗炎症作用を期待し抗TNF製剤や抗IL-6製剤等の生物学的製剤が開発され,一定の効果を認めているものの,臨床的改善率は5割前後にとどまり,重篤な副作用のリスクもあるため,安全で効果の高い新しい治療法の開発が消化器疾患領域の重要な課題となっている.間葉系間質細胞群に含まれる間葉系幹細胞(MSC)は,多分化能に加え,炎症修飾作用を有することが知られている.このため,炎症修飾効果を有するMSCを用いる炎症性腸疾患治療への応用の可能性が示唆されてきた.本研究では,MSCを用いた炎症性腸疾患に対する新規治療確立に向けた基盤の形成を目的とし,MSCの炎症性腸疾患に対する治療効果を確認した.さらに均一な細胞の安定的な供給を目的としてiPS細胞からMSCへの分化誘導と培養を確立した.加えて,同様に炎症が疾患を惹起する非アルコール性脂肪肝炎モデルマウスを用い,MSCが肝臓の間質の細胞に対し,抑制的に働き替えることにより,間質の細胞を介して惹起される炎症を軽減することで実質細胞の障害を回避する,MSCの新たな免疫修飾機序の詳細を解明し,第107回日本消化器病学会総会の主題演題として報告した.現在は以上の成果を踏まえ,炎症性腸疾患モデルマウスの腸管において間質細胞を介した腸管炎症の軽減機序の解析を行っており,更なる研究の飛躍が期待される.
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Research Products
(8 results)