2019 Fiscal Year Research-status Report
疾患特異的iPS細胞を用いた褐色細胞腫に対する新規治療法の開発
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19K24010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮脇 良文 京都大学, 医学研究科, 研究員 (10844714)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 多発性内分泌腫瘍症 / 副腎髄質 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pheochromocytoma and paraganglioma (PPGL)は本邦においては約3000人が罹患していると報告されている。カテコールアミン産生による高血圧、頭痛などの臨床症状を特徴とする難治性神経内分泌腫瘍の一つであり40%以上の症例が遺伝性に発症することが知られている。転移症例は予後不良であり現在有効な根治治療法がなく新規治療薬、治療法の開発が望まれている。現時点でヒト細胞株が存在しないことが新規治療法開発における最大の問題点であるため、本研究では遺伝性PPGL患者由来iPS細胞を用いて世界初となる細胞モデル及び動物モデルを確立し、それらを用いて新規治療法、治療薬の開発を目指す。 PPGLは副腎髄質、傍神経節より生じる腫瘍であり、副腎髄質、傍神経節の発生起源はtrunk neural crestである。本研究ではPPGL患者由来iPS細胞を用いて疾患再現するためにヒトの胚発生を模倣し、適切な時期に適切な分化誘導因子を加えることによりiPS細胞を副腎髄質、傍神経節に分化誘導できないかPAX3, FOXD3, SOX10, TH, DBH等の分化マーカーをメルクマークとし検討を行った。 Neural plate borderからtrunk neural crestに分化誘導するために背腹軸、前後軸の形成がそれぞれWnt, BMP-Shh, FGF-RAのシグナルにより形成させることが報告されているため、各シグナルの条件検討を行った。 最後に副腎髄質、傍神経節がtrunk neural crestが発生において背側から腹側に移動することからFactor Xを分化誘導後期に加えたところ既報の分化誘導プロトコールと比較し、より短期かつ高効率にiPS細胞を副腎髄質、傍神経節様細胞に分化誘導できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Factor Xを分化誘導後期に加えたところ既報の分化誘導プロトコールと比較し、より短期かつ高効率にiPS細胞を副腎髄質、傍神経節様細胞に分化誘導できることが明らかとなった。また現在健常人より樹立したiPS細胞と疾患特異的iPS細胞を腎被膜下に移植し、移植後一か月後に移植細胞が生着していることが確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
移植後一か月で生着している細胞を免疫染色により副腎髄質と同様のタンパク質を有しているかを確認する。確認後にiPS細胞から分化誘導した副腎髄質様細胞をマウスに移植し、マウスの尿中カテコラミンの測定及びMIBGをマウスに投与し、移植片に集積するかを確認する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の想定よりも分化誘導の条件検討に使用する化合物及びタンパク質が少なかったため。
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