2020 Fiscal Year Annual Research Report
疾患特異的iPS細胞を用いた褐色細胞腫に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
19K24010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮脇 良文 京都大学, 医学研究科, 研究員 (10844714)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | PPGL / iPS細胞 / 腫瘍 / 分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
褐色細胞腫・傍神経節細胞腫(以下PPGL)は副腎髄質または傍神経節のクロム親和性細胞から生じるカテコールアミン産生を特徴とする神経内分泌腫瘍のひとつである。PPGLはカテコールアミン過剰により頭痛、発汗過多、発作的な血圧上昇、便秘、動悸に加えて、不安感、疲労感の原因となりQOLを有意に低下させる。また良・悪性の診断が困難であり、悪性例は抗がん剤治療(CVD治療)、131I-MIBGがあるが、効果は個人差が大きく限定的であり新規治療薬、治療法の開発が望まれている。本研究の目的は、家族性PPGL患者(germline mutation; RET(MEN2B), SDH B+/-)よりiPS細胞(以下、疾患iPSC)を樹立し、Xenograftによる疾患再現及び疾患iPSCをクロム親和性細胞に分化誘導し治療法の開発を行うものである。既報の分化誘導プロトコールと比較し、より短期かつ高効率にiPS細胞を副腎髄質、傍神経節様細胞に分化誘導できるプロトコールを新たに確立した。新たな分化誘導法で作成したクロム親和性様細胞はin vitroにおいて未分化iPSと比較しMIBGを取り込む傾向にあることが確認できた。 また新たな分化誘導方法により、健常者iPS細胞(健常者コントロール)、疾患特異的iPS細胞よりクロム親和性細胞様の細胞を作成し、免疫不全マウスの腎被膜下に移植した。移植3か月後に腎臓を摘出し、免疫染色で生着した移植細胞を評価した。健常者コントロール、疾患特異的iPS細胞由来の移植細胞はCgA, TH, FOX2Bが陽性な細胞が確認できた。このことから生着した細胞はクロム親和性細胞であると考えられる。 また疾患特異的iPS細胞由来の移植片は健常者コントロールと比較し、増大する傾向にあった。今後さらに生着した移植細胞に関して解析を進める予定である。
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