2020 Fiscal Year Annual Research Report
The role of hyaluronic acid during mandibular development
Project/Area Number |
19K24071
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 浩史 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10848253)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | HAS2 / 下顎骨 / コンディショナルノックアウトマウス / ヒアルロン酸 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒアルロン酸(以下,HA)は、分子量800-900kDaの多糖体で、生体内の多くの組織や器官に分布している。HA合成酵素(HAS)が同定されて以来、Hasのノックアウト(KO)マウスを用いた研究により、HAの生物学的機能が明らかになってきた。 本研究の目的は、下顎骨の形成過程におけるHAの役割を解明することである。HAS2のKOマウスは胎生9.5日(E9.5)頃において心臓の形成不全により胎生致死であるため、タモキシフェン誘導性のCreERT2コンディショナルノックアウト(CKO) マウスを用いて時期特異的にKOすることとした。当初の予定では軟骨細胞特異的なCol2a1-CreERT2 CKOマウスを使用する予定であったが、交配に難航したため、全身に作用するCreERT2 CKOマウスおよび神経堤由来細胞特異的なWnt1 Cre KOマウスを用いた研究を先行した。軟骨細胞は神経堤細胞由来であるためCol2a1発現細胞を包含している。 CreERT2+/-; Has2 floxとCreERT2-/-; Has2 floxマウスとを交配させ、E8.5でタモキシフェンを投与し、E11.5およびE12.5の胎児を確認したところ、Has2 CKOマウスは心臓や全身骨格の形成が阻害されていた。また、E10.5でタモキシフェンを投与し、E14.5およびE17.5の胎児の骨格標本を作製した。E14.5では骨格形成に大きな差は見られなかったものの、E17.5においては、四肢の長管骨および上下顎骨の顕著な短小化がみられた。 Wnt1-Cre; Has2 floxマウスでは、E16.5において著明な上下顎骨の低形成を認めた。また、出生後すぐに致死となり、上下顎の著しい劣成長が認められた。 これらから、下顎骨を含む全身骨格の内軟骨性骨形成過程において、HAS2が大きな役割を担っていることが示唆された。
|