2020 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌エクソソームの網羅的解析による新規体液診断・治療体系の確立
Project/Area Number |
19K24072
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小野 喜章 岡山大学, 大学病院, 医員 (30845384)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | エクソソーム / 細胞外小胞 / バイオマーカー / 口腔扁平上皮癌 / 分子シャペロン / HSP90 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームはより簡便で低侵襲なリキッドバイオプシーのリソースに用いるバイオマーカーとして注目されている. 一般的に口腔扁平上皮癌(OSCC)では, 血中SCCが腫瘍マーカーとして用いられているが, その感度は高くない. より有用な腫瘍マーカーの開発が期待されている. 本研究では, 転移性の異なるOSCC細胞から単離したエクソソームの網羅的発現解析を行うことで, 腫瘍促進因子を探索し, 臨床的に有効なバイオマーカーの同定を試みた. さらに, 同定したエクソソームマーカー分子の生物学的機能を評価し, OSCC進展における悪性形質獲得までの分子機構の一端を解明した. また, 臨床的有用性の検討を行うために, OSCC患者の臨床検体サンプルからエクソソームを精製することを試み, 健常者との差異を見出すことで, 画期的なバイオマーカーの開発に貢献することを目指した. 転移性の異なるOSCC細胞株から単離したエクソソームについて質量分析によるプロテオミクスを行い, 両者の間で発現に違いのある特異的バイオマーカー候補を探索した. 特に転移性エクソソームに高検出された分子の能を解析するため, RNAi法を用いた特定分子の欠失エクソソームを調製し, 自己分泌・傍分泌作用評価を行った. 更に特定した分子の臨床有用性を調べるため, 当科にて手術を行ったOSCC患者の臨床検体を選出し、免疫組織科学染色を行った. その結果, 転移性エクソソームには分子シャペロン種が多く含まれていた. また, エクソソーム内HSP90欠失により, OSCC上皮間葉転換レベルが抑制された. またHSP90は, OSCCのステージ進行と相関して, その発現レベルや局在性が変化することが示唆された. エクソソーム内HSP90レベルの上昇は、OSCC進行における予後予測バイオマーカーおよび治療標的となる可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)