2020 Fiscal Year Annual Research Report
間葉細胞凝集に関わるmicroRNAを用いた歯の運命決定制御因子の同定
Project/Area Number |
19K24074
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鮒田 啓太 九州大学, 大学病院, 後期研修医 (80847997)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 歯 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の形態形成は主に、上皮ー間葉相互作用による外形決定と、その後に起こる硬組織の形成の2つに分けられる。本研究では、主に上皮ー間葉相互作用による外形決定機構の解明のため、歯の発生初期である胎生14日齢マウスの歯胚を用いて、網羅的遺伝子解析を行い、歯の形態形成期に特異的に発現する遺伝子の検索をCAGE法を用いて行った。その結果、歯に特異的な転写開始点を同定に成功した。胎仔全体と比較して、歯胚サンプルにおいて、マウス15番染色体上の15qD1領域に歯に特異的な転写開始点を発見し、同部位はmiR599またはmiR875をコードしている可能性が得られた。そこで、RT-qPCR法を用いて、どちらのmicroRNAが転写されているかを確認したところ、miR875-5pが歯胚において強い発現を示した。 本年度は、昨年度に引き続き、同定したmiR875の解析を行った。歯に特異的なmiR875は歯の間葉細胞に強くに発現していることが判明したため、歯原性間葉細胞であるmDP細胞にmiR875-5pの遺伝子導入を行い、細胞遊走能を検討したところ、歯の上皮細胞に向かって走行性を示した。そこで、細胞遊走に重要であると知 られるPDGFAAを添加したところ、細胞遊走能が亢進した。さらに、miR875によるPDGFシグナル経路制御機構を解明するため、CAGE法を用いた網羅的解析を行ったところ、PDGFシグナル経路の下流で働くSTAT1および PTENの発現を直接的または間接的に制御している可能性を発見した。以上の結果から、歯に特異的に発現するmiR875は、歯胚の間葉細胞に局在し、細胞遊走を制御することで歯の形態形成に関与している可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)