2020 Fiscal Year Research-status Report
医療的ケアを要する小児の社会性と自立性を育む看護支援モデルの開発と効果検証
Project/Area Number |
19K24176
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 征吾 東京医科大学, 医学部, 助教 (10847825)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 医療的ケア / 健康関連QOL / レスパイトケア / 小児看護 / 家族看護 / 在宅ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
日常的に在宅で人工呼吸器管理や経管栄養などの医療処置を必要とする小児(以下、医療的ケア児)は増加しているが、地域における医療的ケアの提供体制は不十分であり、多くの医療的ケア児は主介護者の付き添いなしに保育園や学校に通うことができない現状がある。本研究では、医療的ケア児の健康関連QOL(HRQOL)における社会的側面に着目し、通所サービスや学校で導入可能な看護支援モデルを開発して、HRQOLに及ぼす効果を検証する。 1年目に行った先行研究のレビューにより、主に学齢期にある医療的ケア児のHRQOLと、通所サービスや学校で行われる医療的ケアの実施体制との関連が示唆された。本年度は、全国の医療型児童発達支援事業所に協力を依頼して、未就学期の医療的ケア児と暮らす主介護者を対象とした質問紙調査を行い、219人から回答を得た。実態として、未就学期の医療的ケア児では全般的HRQOLおよび「自尊感情」と「友人関係」に関する下位領域のスコアが、慢性疾患を持つ小児の平均よりも有意に低いことが明らかになった。また、年齢、言語理解、運動機能、医療依存度を調整したうえで、保育園や児童発達支援等の通所サービスで主介護者の付添なしに看護師から受けるケアは、医療的ケア児の全般的HRQOLの向上と関連した。 また上記調査と並行して、在宅で暮らす医療的ケア児に対して、居宅外で看護師が行う看護ケアに導入可能な看護支援モデルの開発を進めた。このモデルは、通所サービスや学校において、医療的ケア児の主介護者による付き添いを求めずに、医療的ケア児のケアを看護師が行う体制の確立を目指すもので、児童発達支援事業所の看護師の意見、および都立特別支援学校における人工呼吸器管理に関するガイドラインを踏まえて作成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた質問紙調査は完了したが、その調査結果を踏まえて、児童発達支援や学校での医療的ケアに適用できる看護支援モデルへ修正するために時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
未就学年齢の医療的ケア児の主介護者を対象として実施した調査結果を学会等で公表する。また、作成した看護支援モデルを学校看護師からの意見も受けて完成させ、児童発達支援もしくは学校での看護ケアに導入した際の医療的ケア児への影響を検証する。
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Causes of Carryover |
児童発達支援や学校に通う医療的ケア児に対して適用可能な看護支援モデルとするために、フィールドとの再調整が必要となったため、本年度中に計画していた調査内容にかかる費用を次年度に執行する予定である。
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