2020 Fiscal Year Research-status Report
看護系大学における認知症高齢者の看護に関する倫理教育の実態把握と教育内容の検討
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19K24204
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
岩崎 涼子 富山県立大学, 看護学部, 助教 (80846155)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 倫理教育 / 看護倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症高齢者の看護を実践する臨床看護師の倫理的ジレンマおよび学習ニーズの実態を明らかにすることを目的として、公的総合病院に勤務する看護師734人を対象に無記名自記式質問紙調査(留置法)を実施した。 回答数636人(回収率86.6%)のうち全項目未記入14人を除く622人(有効回答率84.7%)を有効回答とした。看護師平均経験年数は13.9(±10.8)年、看護倫理教育の受講状況は、基礎教育が508人(81.7%)、院内教育が497人(79.9%)、院外教育が257人(41.3%)であった。倫理的ジレンマの上位3項目は、身体抑制が477人(76.7%)、心理・精神的拘束が396人(63.7%)、じっくり向き合ったケアができないが395人(63.5%)であった。ジレンマへの対応は、同僚に相談が424人(68.2%)、上司に相談が369人(59.3%)、看護職以外の医療専門職に相談が166人(26.7%)、自分なりに解決したが84人(13.5%)、文献や学会指針を参考にしたが52人(8.4%)、そのままにしたが最下位で49人(7.9%)であった。学習テーマ別の適切な学習時期を基礎教育と回答した上位順は、「看護倫理の歴史的経緯、倫理・道徳とは、サラ・フライの倫理原則、看護倫理とは」であり、現任教育と回答した上位順は、「患者と家族・患者と医師・家族と医師の治療に対する考えが異なるケース対応、職種間の連携」であった。 記述統計によりジレンマおよび学習ニーズや時期の特徴を分析した結果について、国内学会で発表する準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染拡大防止の行動制限のため在宅勤務を行うことが多くなり、研究を行える時間が減少した。さらに、次に予定している調査の対象に看護師が含まれるが、感染拡大で医療が逼迫し看護師の負担が大きい状況での調査依頼は困難と判断したことが要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
学士課程における認知症高齢者の看護に関する倫理教育の実態および認知症高齢者やその家族の看護を実践している看護職を対象とした調査の結果を基に、認知症高齢者の看護に関する看護系大学における倫理教育に必要な教育内容を抽出する。抽出した内容に関して、老人専門看護師や認知症認定看護師および老年看護学や看護倫理の授業を担当する教育者を対象としてコンセンサスメソッドの一つであるデルファイ法を用いて、最小限必要不可欠な教育内容を精選していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で予定していた認知症高齢者の看護に関する看護系大学における倫理教育に必要な教育内容を抽出するための調査を行えなかった。次年度に実施を予定するため、持ち越した助成金を使用していく。
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