2023 Fiscal Year Annual Research Report
訪問看護の需要予測に向けた疾患別利用期間の実態と関連要因の探索
Project/Area Number |
19K24264
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
城川 絵理子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 助教 (10845564)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 訪問看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、訪問看護経営に影響を与えている訪問看護需要の低い予見性への課題に対応するために、疾患別の利用期間の実態を調査し、利用期間に影響を与える関連要因について検討することである。予備調査として、地域特性の概要を把握するため、全国の都道府県における市区町村ごとの訪問看護の供給状況を調査した。その結果、訪問看護の供給状況には地域格差がみられた。また、訪問看護の供給と人口密度には正の相関が、高齢化率とは負の相関がみられた。これらのことから、訪問看護の供給は住民の看護ニーズよりも事業所の経営的な事情が優先される可能性が明らかになった。 訪問看護における需要の低い予見性によるマネジメントへの影響について、訪問看護事業所の管理者にヒヤリング調査を実施したところ、いくつかの課題が明らかになった。まず、実践レベルにおいては、コントロールが難しい需要に対して柔軟に看護師を配置することにより対応し経営を持続できていること、そしてケアニーズや看護必要度による需要の把握は、疾患のみでアセスメントを実践することが難しい等が挙げられた。これらの結果から、調査によって把握できる需要は真の訪問看護ニーズとは言い切れず、訪問看護の供給状況により大きく影響を受けており、供給が需要を生み出している可能性が考えられた。また、実践においては、柔軟な提供体制をとることが地域の訪問看護ニーズに対応するために重要であることが示された。 次に、A訪問看護ステーションのデータを用いて、疾患別利用期間の状況を調査した。利用者の疾患においてはがんが最も多く、整形外科、脳神経内科の疾患で約7割を占めた。平均利用期間では疾患別の違いはみられたものの、利用期間が数日から数年と幅広く、傾向があるとは言い切れない。転帰の理由においては疾患に関係なく、第一に病状の変化等の身体的要因であり、次に介護力等の環境要因であった。
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