2020 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経損傷後の感覚障害に対する幹細胞治療と運動介入を併用した新規治療法の開発
Project/Area Number |
19K24286
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大塚 貴志 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (60845965)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 脳損傷 / リハビリテーション / 細胞移植 / 神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
重度の機能障害をもたらす中枢神経疾患に対する効果的な治療法の開発が社会的に求められている。近年,中枢神経障害に対する幹細胞を用いた再生医療は機能改善をもたらし,さらにリハビリテーションを併用することでより顕著な回復につながる可能性が報告されている。 本研究課題では、脳損傷モデルに対して急性期における間葉系幹細胞 (Mesenchymal stem cells: MSC)の移植とトレッドミル運動によるリハビリテーション介入を併用し,運動機能ならびに感覚機能の改善効果とそのメカニズムを検証を試みた。前年度の研究において,(1)MSC移植単独群、リハビリテーション単独群は無処置群に比べて有意に運動機能を改善させるが,MSC移植とリハビリテーション併用群においてより運動機能が顕著に改善したことと,(2)リハビリテーション介入の頻度については、低頻度に比べて高頻度でよりより改善したことが明らかとなった。 これを踏まえ,本年度の研究目標として、運動機能の回復を誘発しうる数々の因子について検討を行い,MSC移植とリハビリテーションの併用効果を裏付ける情報の収集を試みることを目的とした。 その結果,神経栄養因子である肝細胞増殖因子 (hepatocyte growth factor: HGF),神経成長因子 (Nerve growth factor: NGF)と神経可塑性因子であるGAP-43の遺伝子発現がMSC移植,リハビリテーション介入それぞれの単独群で無処置群よりも有意に高まった。また,HGFにおいては移植35日後の段階でMSC移植とリハビリテーションの相乗効果が示された。 このことから,損傷後早期のMSC移植と積極的なリハビリテーション介入の併用は内因性因子の賦活化を介して運動機能の改善をもたらすことが示唆された。
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