2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of motivational mechanism of food intake behavior through cerebellum-reward system pathway
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19K24316
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宮武 由実子 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80848226)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 小脳 / 高脂肪食 / 報酬系 |
Outline of Annual Research Achievements |
小脳は報酬系を介して社会行動を制御することが明らかとなっている。また、報酬系は食物に対する嗜好性の惹起に重要な役割を担っている。 本研究は、報酬系を介した食物摂取行動の動機付けの形成への小脳の関与を明らかにし、食行動における小脳の新規機能を解明することで、新規肥満治療法の確立を目指すものである。当該目的を達成するために、①マウスが選択的に摂食行動を起こす際の小脳-VTA投射神経の関与、②高脂肪食の小脳ニューロン機能への影響(作用)の2点に関して検討を実施している。 通常食もしくは高脂肪食を1週間負荷したマウスに位置嗜好性試験を行い、高脂肪食に対する嗜好性の評価を行ったところ、試験前に高脂肪食を摂取した群において高脂肪食と結びつけられた条件の部屋への滞在時間が増加した。試験終了後に脳を摘出し、免疫組織化学染色を実施して神経興奮のマーカーであるc-fosの発現を報酬系の一部である腹側被蓋野及び小脳において検討した。しかし、どちらの部位においてもc-fos発現量に差は認められなかった。 通常食または高脂肪食を1週間摂餌させたマウスの小脳スライスを作成し、レプチンを添加した際の小脳神経細胞の発火頻度を電気生理学的手法を用いて測定した。レプチンを添加することで発火頻度が増加したが、通常食群と高脂肪食群の間にレプチンに対する反応性の差は認められなかった。 今後は報酬系を活性化する摂餌モデルを確立し、小脳神経活動の変化について解析する。それと同時に、長期的な高脂肪食摂取が小脳神経活動に与える影響に関しても検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスの食餌嗜好性を評価する実験系の立ち上げに時間を要している。位置嗜好性試験では、高脂肪食と結びつけられた条件の部屋への滞在時間は増加したものの、報酬系の活性化が観察できなかった。現在変更を加えた実験系にて検討を実施している。 一部の実験系の変更により、計画よりもやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
変更した実験系にて、速やかに当初の計画に沿って小脳-VTA経路が食物嗜好性に与える影響を検討する。また、高脂肪食の小脳ニューロン機能に与える影響に関しては、高脂肪食を摂餌する期間によって神経興奮の反応が異なってくる可能性があることから、高脂肪食摂餌期間を長くしたマウスを用いての検討を予定している。
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Causes of Carryover |
研究の実施計画に変更が生じ、それによって使用する試薬も変わったことから次年度使用額が生じた。繰り越した金額に関しては、新たな計画の進捗に応じて必要となる試薬の購入費にあてる予定である。
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