2020 Fiscal Year Research-status Report
Environmental Valuation and Household Behavior in a Developing Country; The Case of Kabwe, Zambia
Project/Area Number |
19KK0040
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋渡 雅人 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (50547172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 大地 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (40852637)
成田 大樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50746485)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 環境評価 / 重金属 / 開発経済学 / 環境経済学 / ザンビア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナ感染拡大の影響により、ザンビアへ渡航できず、予定していた現地における大規模調査が実施できなかった。そのため、主として、既収集のデータに基づく鉛汚染の損失評価に関わる計量分析を進めた。現地共同研究者とはオンライン会議によって打ち合わせを進めた。 既収集データに基づく分析としては、2017年に同研究チームがカブウェで実施した家計調査・鉛血中濃度調査のデータを用いた計量分析を継続し、いくつかの進展があった。2020年9月には、同データを用いて、本研究チームが主体となり、サンプル選択バイアスを修正し、カブウェ市全体の血中鉛濃度を計量経済的手法により推計した研究成果が国際学術誌に出版された。これまでカブウェの診療所を訪問した患者の鉛濃度のデータは報告されていが、同論文は、カブウェ市全体の代表性を有する鉛濃度を推計したという点で初の試みである。本研究成果は、今後の研究においてカブウェ市全体の鉛汚染コストや環境対策の経済便益を推計するうえで、基礎データとなる。また、鉛汚染の経済損失の評価に関わる計量分析としては、新たに、鉛飛散予測のデータを用いた分析の精緻化に着手した。さらに、鉛汚染対策の経済的便益の概算を進めた。特に、血中鉛濃度が改善された状況を想定し、子供のIQ等の改善を通して将来世代の所得が上昇する側面、及び、死亡率が低下する側面に関して、既収集のデータと既存研究のデータを組み合わせることで、経済的便益の概算を試みた。 他に、現地における世界銀行の鉛対策プロジェクトが2020年に収集した医療データ、特に血中鉛濃度のデータベース化を実施した。同データには、2017年に本研究チームが実施した家計調査のサンプルが含まれるためフォローアップ調査としての活用可能性を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度実施していた大規模調査がコロナ感染の影響により実施できなかったという点で、研究進捗状況は遅れている。ただし、既収集のデータを活用し、データ解析という点では進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
鉛汚染の経済的便益に関しては、既収集データによる分析の精緻化を進めるとともに、鉛飛散予測データや世界銀行チームの医療データなど、新たに入手したデータの利用可能性を検討している。延期となった大規模調査については、本年度もしくは来年度に実施したい。本年度に調査が実施できなかった場合は、2022年度に、当初予定していた第2回調査と合わせて延期分の調査を実施することで、目的のデータ収集を完遂する計画である。
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Causes of Carryover |
本年度実施していた大規模調査がコロナ感染の影響により実施できなったために、大きな未使用額が生じている。延期となった大規模調査については、本年度もしくは来年度に実施したい。本年度の夏に実施されるのが望ましいが、コロナ感染の影響などを考えると、実現性は不透明である。当初の計画では、2022年度に2度目の現地調査を実施予定であった。本年度に調査が実施できなかった場合は、2022年度に当初予定していた調査と合わせて延期分の調査を実施する計画である。
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Research Products
(2 results)