2021 Fiscal Year Research-status Report
Environmental Valuation and Household Behavior in a Developing Country; The Case of Kabwe, Zambia
Project/Area Number |
19KK0040
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋渡 雅人 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (50547172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 大地 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (40852637)
成田 大樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50746485)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 環境評価 / 重金属 / 開発経済学 / 環境経済学 / ザンビア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、前年度に引き続きコロナ感染拡大の影響により、ザンビアの調査地における大規模調査が実施できなかった。そのため、既収集のデータに基づく鉛汚染の損失評価に関わる計量分析を進めるともに、現地共同研究者とはオンライン会議によって研究や打ち合わせを進めた。 鉛汚染の経済的損失としては、IQの低下などを通した将来世代の稼得能力に係わるものと、体調不良などを通した現役世代の経済厚生に係わるものに関して、それぞれ計量分析を進めている。将来世代の経済損失については、IQの低下などを通した将来世代の稼得能力と死亡率の上昇に関するこれまで進めてきた試算をさらに精緻化するとともに、環境修復対策の具体的なオプションを想定したもとでの費用便益分析を進めた。 鉛汚染の現在世帯への経済的損失の推計に関する研究においても進展があった。今回、新しくカブウェ地域の土壌鉛濃度のデータを整備し、これを血中鉛濃度変数の操作変数として用いることで、血中鉛濃度の世帯支出への効果を推計した。結果として、世帯の大人の血中鉛濃度の1%の上昇が家計総支出を0.22から0.26%押し下げ、さらに、内訳としては、教育支出減少の効果などが大きいことなどが認められた。本分析に関しては、既に初稿を書き上げており、論文投稿の準備中である。 現地調査については、本年度も延期となったが、今後の方策などについてオンライン会議によって打ち合わせを進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、現地調査がコロナ感染の影響により実施できなかったという点で、研究進捗状況は遅れている。ただし、既収集データに基づく分析には一定の進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
延期となった現地におけるデータ収集については、本年度もしくは来年度に実施したい。鉛汚染の経済コストの客観的評価については、既収集データに基づく分析に一定の進展が見られたが、鉛汚染や環境汚染の経済的価値に関する住民の支払い意思額に係わる調査などは実施できておらず、現地調査によるデータ収集が求められる。ネットや電話を用いた代替調査などの検討なども進めているが、現地の通信環境などの問題により実現は難しく、調査の質を維持するためには、本研究チームが現場で監督することが望ましいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度の実施を予定していた大規模調査がコロナ感染の影響により実施できなったために、大きな未使用額が生じている。延期となった大規模調査については、本年度もしくは来年度に実施したい。本年度の夏に実施されるのが望ましいが、コロナ感染の影響などを考え、時期を遅らせることもあり得る。当初の計画では、2022年度に2度目の現地調査を実施予定であった。2022年度に、当初から予定していた調査と合わせて延期分の調査を実施する計画である。
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