2019 Fiscal Year Research-status Report
A comparative sociological study on roles and changes of community organizations over wide area evacuation from eruption and nuclear accident
Project/Area Number |
19KK0048
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
松本 行真 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (60455110)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 直樹 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (40240345)
齊藤 綾美 八戸学院大学, 地域経営学部, 准教授 (70431484)
岡野 英之 近畿大学, 総合社会学部, 講師 (10755466)
杉安 和也 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (30785192)
|
Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
Keywords | コミュニティ / 広域避難 / 原発事故 / 噴火 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(10月~3月)に実施したのは次の通りである。 噴火(アグン山)については現地共同研究者のウダヤナ大学・ブディアナ氏の協力により、バリ島の避難所、避難元バンジャール住民を対象に2019年3~6月に配布した質問紙(回収/配布数:クシンパール161/163世帯、テムクス190/249世帯)を回収し、それらのとりまとめを行う(12月)ことを通じ、避難時の経緯と避難者らとそのコミュニティの現状と課題を把握した(3月)。 原発事故については、東日本大震災による被災住民(と組織など)へのヒアリング調査を引き続き行った(2~3月)。具体的には主にいわき市や富岡町在住者を中心に、沿岸部の津波避難や原子力災害による避難に関する追加のヒアリングを行うとともに、震災後に実施された各種避難訓練への参加状況やその評価についての聞き取りも実施した。 これら成果をふまえた報告書は現在、集成中である。そのなかの一つを示すと、先のバリ島と2012年度に実施した楢葉町・富岡町のアンケート調査からその避難の構造について、共分散構造分析を用いて考察すると、住民組織を中心とした日常の関係が災害時における避難といった非日常に寄与する可能性が高いことがうかがえる。この分析の課題として、集計単位(バンジャール単位/町単位)が異なること、これらの定量的結果と聞き取りによる定性的な結果との整合が求められると考える。後者の課題については2011年度から実施している聞き取り調査を行政区単位でとらえなおすことで、先の避難モデルの修正・解釈を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本側研究者によるバリ島調査を2020年度内に実施する予定であったが、新型コロナウィルスの影響により調査実施が困難になったためである。 2019年度未実施の調査を2020年度内に実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続きバリ島(噴火)、福島県双葉郡楢葉町・富岡町/いわき市(原発事故)を主なフィールドに定め、以下の調査研究を行う。 噴火(バリ島):本研究課題では聞き取り/質問紙調査の対象地はバリ島南部であるが、研究代表者らが過去に実施した予備調査(2017年冬)では北部と南部での避難行動に差異があることがわかっている。本年度は現地共同研究者のウダヤナ大学・ブディアナ氏との協力で北部地区のバンジャールへのアプローチを行い、昨年度に実施した同様の調査(コミュニティ・リーダーへの聞き取りやバンジャール住民への聞き取り/質問紙調査など)を行い、北部/南部地区の共通性/差異性を明らかにするとともに、それらをバンジャールの歴史・慣習・活動との関わりで検討し、本研究課題がモデルとして想定する(A)と(B)への節合を試みる。 原発事故(福島県):引き続きいわき市や楢葉町・富岡町在住者を中心に、原子力災害による避難に関する追加のヒアリングを行うとともに、震災後に実施された各種避難訓練への参加状況やその評価についての聞き取りも実施するとともに、2012年夏と2015年秋に楢葉町・富岡町民を対象に実施した質問紙調査の再分析を行い、民衆知と日常/非日常の関連による避難(B)と、主に避難訓練などに基づく社会関係資本(の一部)の形成による避難(A)のパスを両町における地域内外の差異を検討する。これら結果を受けて、震災後に実施された原子力防災訓練への評価を含めた聞き取り調査も実施する。 これら成果を学会発表により国内外の研究者から評価を受け、成果集約の方法や手順を確認し、調査内容をまとめ、論文投稿を行う。そして、年度末には調査レポート、収集資料を中心とした中間報告書を作成し、関連研究者との研究会を実施し、調査の進捗状況及び調査結果を議論する。
|
Causes of Carryover |
日本側研究者のバリ島調査を2020年度内に実施する予定であったが、新型コロナウィルスの影響により調査実施が困難になったためである。また、報告書作成費については別予算にて充当したことも理由の一つである。 2019年度未実施の調査を2020年度内に実施する予定である。
|
Research Products
(11 results)