2020 Fiscal Year Research-status Report
A comparative sociological study on roles and changes of community organizations over wide area evacuation from eruption and nuclear accident
Project/Area Number |
19KK0048
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
松本 行真 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (60455110)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 直樹 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (40240345)
齊藤 綾美 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (70431484)
岡野 英之 近畿大学, 総合社会学部, 講師 (10755466)
杉安 和也 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (30785192)
|
Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
Keywords | コミュニティ / 広域避難 / 原発事故 / 噴火 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に実施したのは次の通りである。 噴火(アグン山)については現地共同研究者のウダヤナ大学・ブディアナ氏の協力により2019年3~6月にバリ島の避難所、避難元バンジャール住民を対象に実施した質問紙調査の分析を行った。原発事故(福島県)については、いわき市や楢葉町・富岡町在住者を中心に原子力災害による避難に関する追加のヒアリングを行ったが、新型コロナウイルスの感染状況もあり十分に実施できなかった。 一方で2012年夏と2015年秋に楢葉町・富岡町民を対象に実施した質問紙調査の再分析を行い、民衆知と日常/非日常の関連による避難(B)と、主に避難訓練などに基づく社会関係資本(の一部)の形成による避難(A)のパスを両町における地域内外、さらにはアグン山噴火の事例との比較検討を行った。アグン山噴火による避難行動が「ネットワーク→社会関係資本→避難の関係」であるのに対して、福島における原発事故からの避難ではそのようなパスが弱い/ないという結果が得られた。そこで帰結の一つとして、防災などに関する経験や知識があったとしても、それを避難につなげる関係(例えば社会関係資本)が形成されていないと、そうした事前の取組はいわゆる「役に立たない」ことを明らかにした。 ヒアリング調査を十分に実施できなかったこともあり、『分化・複層化する原発事故避難者のコミュニティ』(12章、360頁)『災禍の民衆知と避難行動の比較分析』(11章、250頁)として、これまでの調査分析を集成することになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本側研究者のバリ島調査を2020年度内に実施する予定であったが、新型コロナウイルスの影響により調査実施が困難になったためである。 バリ島のバンジャールにおける新型コロナウイルス対応の動向把握をブディアナ氏により進め、zoom会議にて共有してはいるものの、島内の感染者増により十分に実施できない状況である。 2020年度未実施の調査を2021年度後半に実施する予定であるが、困難な場合はバンジャール内のキーパーソンへのヒアリング調査に代え、住民への質問紙調査を先立って実施することも検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続きバリ島(噴火)、福島県双葉郡楢葉町・富岡町/いわき市(原発事故)を主なフィールドに定め、以下の調査研究を行う。 噴火(バリ島)については2020年度に実施できなかった北部地区のバンジャールへのアプローチを行い、過去に実施した同様の調査(コミュニティ・リーダーへの聞き取りやバンジャール住民への聞き取り/質問紙調査など)を重ね、北部/南部地区の共通性/差異性を明らかにするとともに、それらをバンジャールの歴史・慣習・活動との関わりで検討し、本研究課題がモデルとして想定する(A)と(B)への節合を試みる。 原発事故(福島県)については引き続きいわき市や楢葉町・富岡町在住者を中心に、2020年度に十分に実施できなかった原子力災害による避難に関する追加のヒアリングを行うとともに震災後に実施された各種避難訓練への参加状況やその評価についての聞き取りも実施する。2020年度に行った質問紙調査の再分析によって得られた知見を受けて、震災後に実施された原子力防災訓練への評価を含めた聞き取り調査も実施する。 これら成果を学会発表により国内外の研究者から評価を受け、成果集約の方法や手順を確認し、調査内容をまとめ、論文投稿を行う。そして、年度末には調査レポート、収集資料を中心とした中間報告書を作成し、関連研究者との研究会を実施し、調査の進捗状況及び調査結果を議論する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、ヒアリング先が限定されたために旅費の予定通りの執行が出来なかったことが主な理由である。 次年度はこれまでの成果を書籍として発刊するために充当する計画である。
|
Research Products
(15 results)