2022 Fiscal Year Research-status Report
Long-term and high-resolution environmental reconstruction using natural carbonate
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19KK0083
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐野 有司 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 特任教授 (50162524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 厚太朗 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70463908)
鹿児島 渉悟 富山大学, 学術研究部理学系, 特命助教 (70772284)
高畑 直人 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (90345059)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 古環境復元 / 炭酸塩 / 地球化学 / 質量分析 / 年代測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、サンゴ骨格・鍾乳石・二枚貝など付加成長する炭酸塩試料について、高精度年代決定法と高解像度元素・同位体分析法を融合させることにより、過去の環境を長期間かつ高精度で復元することを目的とする。具体的には、炭酸塩試料のウラン-トリウム年代測定法の世界的権威である国立台湾大学のSHEN教授との共同研究を通じて、炭酸塩試料の年代を高精度で決定するとともに、二次イオン質量分析計(NanoSIMS)等を用いて高解像度の微量元素分析を行なうことによって、氷期・間氷期サイクルや地球温暖化に対してアジアモンスーン・エルニーニョ・太平洋十年規模振動がどのように対応してきたか、といった問題の解明を目指す。 2022年度は昨年度から引き続き、LIBSと窒素安定同位体比質量分析法を組み合わせた、局所窒素同位体比分析法に関する基礎実験を進めた。その結果、生物起源炭酸塩について数百マイクロメートルの領域から窒素同位体比を実用的な精度で分析できる可能性が示された。 また昨年度に引き続き、長寿二枚貝ビノスガイの分析を古環境復元に応用するため、局所分析法を用いて微量元素変動メカニズムの検討を進めた。殻のストロンチウム/カルシウム比とマグネシウム/カルシウム比は殻の微細構造に強く影響を受けることが明らかとなった。一方、バリウム/カルシウム比は環境変化の影響を記録している可能性が示された。 若手外国人研究者の養成を目的として、東京大学大気海洋研究所および高知大学海洋コア国際研究所でEscobar-Nakajima博士を雇用して研究活動を進めた。 2022年10月に、台湾の国立台湾大学でウランートリウム年代測定に関する研究打合せを行った。 炭酸塩試料に記録され得る環境情報の調査を目的として、阿蘇山・雲仙岳の炭酸泉の観測を実施し、温泉水・ガスの化学・同位体組成は火山の形状・熱水系構造の違いを反映することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外渡航を伴う人的な交流を進めるとともに、外国人若手研究者の育成を進めた。また、NanoSIMSやLA-ICP-MSを用いた分析や、LIBSを用いた新規分析手法の開発は順調に進んでいるため、全体では計画はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も台湾の国立台湾大学を訪問しウランートリウム年代測定を進める。鍾乳石および二枚貝を用いた研究については成果が得られつつあるので研究を継続的に進める。
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Causes of Carryover |
2020-2022年度における新型コロナウイルス感染拡大により、海外渡航を伴う人的な交流およびそれに伴う研究活動の遂行が困難であった。当初計画に沿って研究を進めるため、研究期間の延長および2023年度への予算の繰越が必要である。2023年度においては、国立台湾大学における人的交流や炭酸塩試料のウランートリウム年代測定を進める計画である。
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Research Products
(7 results)