2020 Fiscal Year Research-status Report
Deep Earth material sciences combining the advanced techniques of high-pressure and high-temperature experiment and elastic wave velocity measurement
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19KK0085
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (00291500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿澤 翔 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (10846819)
川添 貴章 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (40527610)
佐藤 友子 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (80553106)
安東 淳一 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (50291480)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 高温高圧実験 / 弾性波速度測定 / 放射光実験 / 地球深部物質 / マントルダイナミクス / 上部マントル / マントル遷移層 / 下部マントル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本側の最先端の高温高圧実験技術と米国側の最先端の弾性波速度測定技術・放射光X線その場観察実験技術を組み合わせて、地球深部物質の高温高圧下での弾性波速度測定実験を無水及び含水条件下で遂行し、地球深部物質の探索を行おうというものである。そしてこの国際共同研究を通じて、更なる強い国際協力関係が構築でき、特に若手研究者へこの協力関係の伝承ができればと考えている。 コロナ禍で海外の研究者とのお互いの行き来は閉ざされている。ただ、電子メールやオンラインを有効に用いて共同研究を遂行した。特に弾性波速度測定に必要な高圧含水鉱物の合成に取り組み、その相の精密な含水量測定を北海道大学所有の二次イオン分析装置を用いて行った。これで、アメリカシカゴにある放射光施設APSでの弾性波速度測定・放射光X線その場観察実験に向けての下地ができた。このような活動が評価され、共同研究者の1人であるGwanmesia教授のNSF科研費が、本共同研究の申請内容の基、高い評価を受けて採択され、国際共同研究が加速されてきている。 加えて今年度は沈み込むプレート中で重要となる高圧含水相phase A相の高温高圧下での状態方程式の研究を出版したが(Yang, Inoue, Kikegawa, 2021)、さらに弾性波速度測定に耐えうる焼結体合成に成功し、高温高圧下での弾性波速度測定実験をアメリカ側で遂行した。この研究成果については現在投稿中である。 更に、今回の国際共同研究強化Bのプロジェクトを通じて派生的に生じた国際共同研究が生まれ、国際共同研究の幅が広がっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
弾性波速度測定実験には良質な測定試料合成が必要不可欠である。実施計画に書いたように、今年度も弾性波速度測定に耐えうる試料合成に取り組んだ。高温高圧下での試料合成は愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター設置の川井型マルチアンビル装置を用いて行った。非常に透光性の高い、すなわち焼結度の高い試料合成を行うため、出発試料としてはコンテナレス法(浮遊法)で合成したガラスを用いた。この出発試料作製はSPring-8、 BL04B2設置の装置を用いて行った。加えて、2020年3月に広島大に導入された高圧発生装置を用いた合成実験も行っている。合成試料については、X線回折装置、走査型電子顕微鏡、電子線プローブマイクロアナライザー、及び透過型電子顕微鏡においてキャラクタリゼーションを行っている。 コロナ禍で海外の研究者とのお互いの行き来は閉ざされているが、海外の研究者とは主に電子メールでのやり取りの基、研究を進めている。その中で特記すべきは合成試料の郵送でのやり取りでお互いに得意なキャラクタリゼーションが実施できたことである。 これで弾性波速度測定に必要な第一弾の合成試料は準備できたため、アメリカシカゴにある放射光施設APSでの放射光X線その場観察実験が可能となる。既に2021年9月にビームタイムもアサインされているが、2021年度もコロナ禍で日本からは参加できそうにない。もしアメリカ側で実験遂行可能となれば、こちらからはオンラインで参加する予定である。このように、コロナ禍でどのように本国際共同研究を進めて行くか苦心したが、意外とうまく進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も弾性波速度測定に耐えうる試料合成を行う。高圧合成実験は、愛媛大学GRC設置の川井型マルチアンビル装置、及び広島大学に導入した高圧発生装置を併用して行う。特に、2020年3月に広島大学に導入した装置も順調に稼働しており、その更なる改良を行う。これらの研究は、研究代表者の井上と研究分担者である佐藤・川添・柿澤が協力して行う。 非常に透光性の高い、すなわち焼結度の高い試料合成を行うため、出発試料としてはコンテナレス法(浮遊法)で合成したガラスを用いる。この出発試料作製はSPring-8のBL04B2設置の装置を用いて行う。この合成は研究代表者の博士後期課程学生であり研究協力者である野田昌道が行う。この手法を用いて、ワズレアイト、リングウッダイト、ブリッジマナイトの良質試料合成を行う。さらに、含水化した試料の合成も試みる。 合成に成功した試料においては、X線回折装置、走査型電子顕微鏡、電子線プローブマイクロアナライザー、及び透過型電子顕微鏡においてキャラクタリゼーションを行う。特に、精密粒径観察・組織観察や微小領域の化学組成測定を重点的に遂行する。この分析は研究分担者の安東が主に担当する。 しっかりしたキャラクタリゼーションがなされた良質な試料に対しては、高圧下での弾性波速度測定を行う。既にアメリカシカゴ放射光施設APSでの放射光ビームタイムが2021年9月にアサインされており、この測定はGwanmesia教授、Li教授、Wang教授と実施する。また日本においては、 SPring-8のBL04B1ビームラインにおいて、肥後ビームラインサイエンティスト、及び愛媛大学のGreaux助教との共同研究としても推進していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため、海外出張が規制されて、当初予定していた米国出張が困難となった。その分が次年度繰越という形で、次年度使用額が生じた。研究としては電子メールで密接なやり取りを行い、国際共同研究を遂行した。 今年度の使用計画であるが、新型コロナウイルスの状況が不透明な中、引き続き海外出張自粛が続くように予想される。したがって、日本側が得意とする高圧試料合成に集中し、繰越分はそのために必要な消耗品購入に変更する。弾性波速度測定に耐えうる試料が合成されれば海外の共同研究者に郵送し、測定を開始する。新型コロナウイルスが終息した暁には、日本側研究者も海外に出向き、測定に参加する。それまでは先方とのやりとりは引き続き電子メールベースで行う。
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Research Products
(39 results)