2023 Fiscal Year Annual Research Report
太古代から原生代への地球大気変動に果たしたマントルの役割
Project/Area Number |
19KK0091
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上野 雄一郎 東京工業大学, 理学院, 教授 (90422542)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 晃 東京工業大学, 理学院, 准教授 (20524507)
青山 慎之介 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 日本学術振興会特別研究員 (50814232) [Withdrawn]
青木 翔吾 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (60801967)
|
Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
Keywords | GOE / コマチアイト / 硫黄同位体異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、約24億年前に起きた大酸化事変 (GOE)に果たした固体地球変動の役割を解明することを目的として、マントルを含めた物質循環を主に硫黄同位体異常や微量元素分析等を用いて追跡する。本年度は、西オーストラリア、イルガルン地塊の緑色岩帯に産するコマチアイトとそれに伴う玄武岩質溶岩(27億年前)の解析を主に行った。その結果、多くの岩石に表層由来の硫黄の混染が認められ、起源マントルの特徴を見出すことが困難であることが判明した。一方、並行して進めた西オーストラリア、ピルバラ地域に産する32億年前のコマチアイト及びコロンビア、ゴルゴナ島に産する顕生代コマチアイトの解析を行った結果、いずれの起源マントル物質においても強親鉄性元素が現在と比べて20-30%程度乏しいことが明らかとなった。このことは、1)地球内部は現世のマントルにおいても不均質であり、顕生代コマチアイトを表層に供給した地球深部リザバーは浅部マントルと比べて20-30%程度、強親鉄性元素に乏しい特徴を持つ、2)同様の深部マントルリザバーはコマチアイトの起源マントルとして太古代(32-34億年前)からすでに存在していた、という2つの新知見を与えるものである。したがって、およそ27億年前のコマチアイトに認められる強親鉄性元素存在度の地域性を説明するシナリオとして、1)マントル対流の活発化に伴い深部マントルの侵食が進んだ結果、混合マントル領域が深部へ広がった、あるいは、2)マントル内部の温度上昇に伴いコマチアイトの生成条件がより浅部まで進出した、という2つの可能性が考えられる。どちらの仮説が正しいかについてはさらなる検証を要するが、いずれのシナリオにおいても太古代末にマントル内部の活動が活発化したことが想起されるため、固体地球が火山活動を通じて当時の表層環境へ大きな影響を及ぼしたことに疑いはない。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Multiple sulfur isotope geochemistryof pyrites in Paleoproterozoic blackshales from Francevillian succession,Gabon2023
Author(s)
Kurihara, A., Sato, T., Sawaki, Y., Moussavou, M., Ueno, Y.
Organizer
Goldshmidt conference 2023
Int'l Joint Research