2019 Fiscal Year Research-status Report
Super-resolution evaluation system of air pollution at pedestrian level
Project/Area Number |
19KK0105
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲垣 厚至 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (80515180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 雄太 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (10851016)
小野寺 直幸 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (50614484)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 都市大気乱流 / PM2.5 / 格子ボルツマン法 / 気象タワー観測 / 移動観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジャカルタは東京に次ぐ人口を擁した世界のメガシティの一つであり,今後更なる人口の増加と急激な都市開発により大気汚染の悪化が懸念されている.これに対してジャカルタ市では,2018年にグランドデザインの一環として縦割りを排除した各種行政・研究機関が一体となって大気汚染対策に取り組むことを公表しており,具体案策定の社会的機運が高まっている.それに際して,現在の都市大気環境を詳細に把握し,環境政策の影響評価をするためのシステム構築が必要である.本研究では,数値流体力学モデルに基づく物質動態シミュレーションモデルの開発と,現地の大気環境リファレンスに資するデータ取得を目的としたタワー観測システムを構築し,観測とシミュレーションの双方から街区内微気象要素と物質動態を評価するシステムを構築する. 本年度は主に次の3つの項目について研究を実施した。(1)汚染物質濃度(PM2.5)の測定機器の選定及び現地での精度評価、(2)格子ボルツマン法LESモデルを用いた対象都市街区の微気象計算と地上排出源粒子の動態計算、(3)現地の各種機関とのタワー観測計画の打ち合わせ、について実施した。また現地の各種機関を訪問し、それぞれ観測許可を得たことで、各施設を利用した汚染物質の多点観測網案を作成した。これによりジャカルタの広域濃度変動を捉えることが可能となり、それを参照することで、本研究の主目的であるローカル排出源の寄与を抽出しやすくなることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は現地でのPM2.5濃度計測のための測器の精度検証を現地で行った。小型のPM2.5センサ5台を東京都内及び、現地にて数か月の連続観測を実施し、物質濃度レベルや気候帯によらず精度良くPM2.5濃度を計測できることが分かった。また測器を格納するためのチャンバーを強制通風するように改良した。また、本測器を用いた都市街区内の移動観測を実施し、街区内の大まかな短時間での濃度変動レベルを調べた。 数値計算では格子ボルツマン法LESを用いてパッシブトレーサーの動態シミュレーションを行った。ジャカルタ都市街区を対象とし、水平20kmかける5kmの計算領域を格子幅2mで解像した大規模計算を実施した。車等の移動排出源を想定し、街区に沿った地面近傍からトレーサーを排出した。排出量についてはGoogle Mapから現地の渋滞情報を取得し、それに基づいて発生量の調整を行った。数値計算結果より、街区構造内の物質濃度は非常に不均一性が強く、主に街区形状によっていることが定性的に示された。 現地タワー観測に関して、現地の政府関係者及び各種研究機関と、観測計画についての打ち合わせを実施した。また、現地における建設候補地の調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、(1)ジャカルタ市内におけるPM2.5分布観測網の構築、(2)気象タワー観測、(3)数値モデルの開発、(4)移動排出源の排出量評価及びインベントリ分析を行う。(1)については、本年度精度検証を行ったPM2.5濃度計測機を用いた、ジャカルタ市内(水平50kmの範囲内)の多点に設置し、ジャカルタ市全体の広域濃度変動特性を把握することを試みる。(2)については引き続き現地機関との調整を行う。(3)についても引き続きモデル開発(例えば地表面モデル)を実施する。(4)は現地での交通量調査及び、文献調査、各種研究機関が保有するデータとの相互比較から達成を目指す。最終的に以上の要素をとりまとめることで、現地観測及び数値計算に基づいた環境評価システムの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度予算は主にPM2.5機器に使用する予定であったが、現在開発中の測器が、操作性(遠隔操作及びメンテナンス頻度)及び予算の面で本研究目的に合致していることが分かった。その測器は本年度完成予定であり、当該予算は本年度執行予定である。
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