2021 Fiscal Year Research-status Report
Super-resolution evaluation system of air pollution at pedestrian level
Project/Area Number |
19KK0105
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲垣 厚至 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (80515180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 雄太 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (10851016)
小野寺 直幸 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (50614484)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 都市気象観測 / 大気汚染 / 数値シミュレーション / 都市大気境界層 / 接地境界層 / PM2.5 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではジャカルタを対象とした都市街区内における,移動排出源を対象とした物質の空間分布評価を目的としており,数値流体力学モデルに基づく微気象シミュレーションと,現地の気象観測タワー及び地上観測網に基づく気象及び大気質の実測データを用いた検討を行うものである. 本年度の実績として,数値シミュレーションについてはモデルの改良を行った.本研究では計算のメモリ節約のため,流体計算は格子ボルツマン法で計算し,熱・スカラーの移流拡散は差分法で計算する方法をとっている.これまでに熱による浮力効果,壁関数,ラグランジュ粒子拡散などをモデルに組み込んでいたが,現在の構成では剛体壁面近傍で温度が数値振動を起こしており,壁や地面近傍の気温や温熱感を評価する際に問題となることが明らかとなった.そこで熱の移流拡散に高精度の差分法を用いることで,剛体面近傍における温度場の再現性が改善した. 観測面においては,通年の地上気象観測網のデータを解析することで,ジャカルタの典型的な微気象場の日変動及び季節変動パターンを明らかにした.解析結果より,ジャカルタの海風の発生時刻及び,その侵入速度に明瞭な季節変動パターンがあり,特に夜間の大気放射が季節ごとに大きく異なることが主な要因であることが分かった.それに関連して,領域気象モデルを用いたジャカルタの海風の再現計算を実施し,海岸線が作る海風の侵入挙動の空間不均一性が,大気境界層の局所的な発達に影響を及ぼすこと示した.また,ジャカルタ市内に建設されていた高さ70mの鉄塔の,気象観測としての使用許可が下り,通年の気象要素と大気質の鉛直分布観測の計画が整った.それに基づき日本国内で計測機器の設置準備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの進捗状況として,まず数値シミュレーションにおいては使用するモデルの開発が概ね完了し,大規模な数値計算する準備が整っている.観測では依然コロナ禍による観測計画の遅延が尾を引いているが,本年度に観測準備が整い,機器設置の具体的な作業に取り掛かることができた.次年度初夏頃より観測開始でき,プロジェクト期間内に乾季のデータを全期間取得できる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針として,タワー観測を初夏頃より開始する.乾季の観測データを取得し,気象要素と大気質(PM2.5)の鉛直分布特性について解析する.数値シミュレーションでは街区から発生させた粒子動態を追跡する計算を実施し,気象観測タワー周りのソースエリアについて検討する.最後にシミュレーションと観測結果を相互比較し,ソースエリア内の排出源とタワー観測値の関連について検討する.得られた成果を取りまとめて,海外学術誌に投稿する.
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Causes of Carryover |
当初より計画していたジャカルタにおける気象タワー観測の候補地選定がコロナ禍による渡航制限のため難航していたが,本年度に候補地が見つかり,使用のための手続きが完了したのが3月下旬のことであったため,観測準備を次年度実施することとなり,そのための経費を次年度に使用することとなった.
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