2020 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of phosphorus uptake ability of rice variety AZ-97 under low phosphorus soil conditions in Madagascar
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19KK0154
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
高井 俊之 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 主任研究員 (40547725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 泰弘 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (20588511)
西垣 智弘 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 任期付研究員 (80795013)
川村 健介 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 任期付研究員 (90523746)
晝間 敬 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (20714504)
阪田 光和 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 講師 (50843322)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | AZ-97 / リン欠乏土壌 / 根圏 / 微生物 / QTL |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1: リン欠乏環境における「AZ-97」の高いリン獲得能のメカニズムの解明 ○石垣島より取り寄せたリン欠乏土壌を用いたポット試験の結果、マダガスカルのリン欠乏土壌で観察されたAZ-97の旺盛な生育を確認することはできなかった。この要因として、石垣島の土壌がAZ-97が優位性を発揮するほどリン欠乏では無いことが考えられた。○γ線を照射して滅菌処理した土壌では、非滅菌に対してイネのリン吸収量と乾物生産量および根量が低下した。根からの滲出物を調査した結果、リン量の多い土壌領域にリン可溶性の高いクエン酸を優先的に分泌していることが分かった。○微生物叢を解析した結果、γ線処理で根圏の微生物群の多様性が低下していることが明らかになった。 課題2: 少量リンでも生育が良好な「AZ-97」の遺伝要因の解明 ○養分が肥沃な国際農研の水田圃場でAZ-97とX265のF2集団を栽培し遺伝解析を行った結果、肥沃な土壌環境下では、稈長を制御するsd1がAZ-97型で分げつ数を増やすが稈長を短くし、結果として成熟期の地上部乾物重を低下させることが分かった。○マダガスカルのリン欠乏土壌を用いてAZ-97とX265のF2集団のポット試験をマダガスカルのカウンターパートの温室で行ったところ、AZ-97がX265よりも生育が旺盛であることを確認した。今後遺伝解析を行う予定である。 課題3: F2集団を世代促進させてF4種子を確保するとともに、準同質遺伝子系統作成のための戻し交配を行い、BC1F1種子を獲得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はコロナ感染拡大のために、マダガスカル現地に赴き試験を遂行することができず、研究の進捗は当初の計画よりも遅れをとることとなった。しかし、そのような状況でも、現地カウンターパートとのオンラインでの連携や国内試験に切り替えての実験で、可能な限り研究成果を得た。令和3年4月28日に参画者でミーティングを行い、研究成果情報を共有し次年度の計画について議論した。
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Strategy for Future Research Activity |
マダガスカルに渡航できない状況が当面続くことが想定されるため、国内をベースにした体制で研究を進める。 課題1:マダガスカルの土壌を日本国内に輸入できるか検討する。石垣島のリンが更に欠乏した土壌を探索し試験に供試する。これまで調査していた無機態リンに加えて、有機態リンの解析を進める。 課題2: マダガスカルのリン欠乏土壌を用いたポット試験の遺伝解析を進める。遺伝解析集団の世代促進を進め、組換え自殖系統群を完成させる。 課題3: マダガスカルのポット試験の遺伝解析結果を受けて、有望QTLを有する準同質遺伝子系統の作成を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大等により、マダガスカルに渡航できなかったため、旅費に余剰が生じ、次年度への繰越しが生じた。この本年度の繰り越し分は次年度の助成金と共にポスドク1名の賃金として活用し、また、東京大学と高知大学に分担金をそれぞれ80万円、50万円配分し、研究の促進を図る。
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Research Products
(1 results)