2020 Fiscal Year Research-status Report
フィラリアを媒介しない蚊作出に向けたタイ王国における犬糸状虫の生態疫学調査
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19KK0175
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
福本 晋也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (50376422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅野 光範 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (20590095)
白水 貴大 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特任研究員 (80804608)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 犬糸状虫 / ヤブカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画ではタイフィールドサンプルの解析により、フィラリアを媒介しない蚊の作出を目指し研究を行う。 2020年度においてはチェンマイ由来2系統の感染表現型の詳細な解析をすすめた。高媒介性系統・高抵抗性系統の個体群について、個体別に感染表現型を解析、感染表現型にもとづき、交配・継代を行った。その結果、ほぼ100%の確立で感染期幼虫を保持する高媒介性株とほぼ100%の確立で感染期幼虫を持たない株の樹立に成功した。すなわち、遺伝学的手法によりフィールド由来の蚊から犬糸状を媒介しない蚊を作り出すことが可能であることを明らかにした。現在、DNAレベルでの比較解析を進めている。 また、チェンマイ大学医学部・獣医学部と蚊のサンプリングおよびフィラリアのサンプリングに関するMTAを締結した。新型コロナにより研究代表者らのタイへの渡航に支障がでているが、本MTAの締結により現地調査研究の円滑化が期待される。 チェンマイ近郊のイヌのフィラリア調査を実施し、犬糸状虫とパハン糸状虫が優性種であること、地理的要素とフィラリアの疫学に相関関係が存在することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイフィールド由来ヤブカから遺伝学的に、犬糸状虫を媒介しない蚊と媒介能力が高い蚊を作り出すことに成功した。すなわち、遺伝学的に犬糸状虫表現型依存的な蚊の分離法の開発に成功したことを意味し、今後の研究の進展に大きく寄与することが期待される結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症による渡航制限が解除された場合にはタイフィールドにおけるイヌ・蚊の調査研究を実施する。不可能な場合には2019年に分離した株の近交化、ゲノム解析などにより、犬糸状虫の媒介メカニズムを分子レベルで解明することを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による渡航制限により、海外調査を主体とする本研究において旅費の未使用額が増加した。また、発表学会のWEB開催化もさらなる旅費未使用額増加の要因となっている。これらの予算についてはゲノム解析拡大とその受託費用などに充当する予定である。
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