2023 Fiscal Year Research-status Report
フィラリアを媒介しない蚊作出に向けたタイ王国における犬糸状虫の生態疫学調査
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19KK0175
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
福本 晋也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (50376422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅野 光範 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20590095)
曽賀 晃 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 共同研究員 (20838734) [Withdrawn]
白水 貴大 藤田医科大学, 病態モデル先端医学研究センター, 助教 (80804608)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | イヌ糸状虫 / ヤブカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では対フィールドサンプルの解析により、フィラリアを媒介しない蚊の作出を目指し研究を行う。現在までの研究においてタイフィールドサンプ ルの ネッタイシマカから遺伝学的手法を用いて、犬糸状虫を媒介する系統と媒介しない系統を分離する方法の確立に成功した。またこれらの系統をゲノムレベ ルで比較するため次世代シーケンサーを用いたGRAS-Di解析を行ったが、フィールド由来サンプルを用いたことによる遺伝的多様性のためにマスクされ、犬糸状虫感染性に対する表現型に対し解像度を高く有意な差異を検出することはできなかった。そこでこの遺伝的バックグラウンドの多様性に起因するマスクの問題を解決するため、 媒介系統・非媒介系統を兄妹交配することで、犬糸状虫媒介性・非媒介性 ネッタイシマカ近交系の樹立を試みた。5-7世代の近交化を行い、繁殖性と感染表現型 の評価を行ない、正常な繁殖能力を維持 していること、犬糸状虫に対する感染表現型を正しく遺伝していることが確認された。さらに解析改造度を上げるため、さらなる近交化を行い、QTL解析に供することを計画したが、突如近交化コロニーがリーサルとなり、継代が困難化した。再度近交化系統の樹立を試みるとともに、QTL解析の実施に持ち込みたい。タイ王国チェンマイ地方で約400検 体のヤブカ幼虫を採集、DNAを抽出保存したサンプルについて、 GRAS-DI・QTL-Seq解析の結果をもとにフィールド蚊のジェノタイピングを行った。また、フィールド由来イヌ糸状虫抵抗性蚊が、人で問題となるマレー糸状虫およびパハン糸状虫に対しても感染抵抗性を有することが明らかとなり、イヌ糸状虫感染表現型による蚊のスクリーニングと遺伝学的表現型固定により汎フィラリア抵抗性蚊の樹立が可能なことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析を予定していた近交化系統のリーサル化により、ゲノム解析が困難となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
再度の近交系樹立を試みるが、並行して、実験室系統の蚊のデータを外挿しゲノムの比較解析を尾籠なる手法についても検討する。
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Causes of Carryover |
解析を予定していた近交系系統のリーサル化が起きたため。実験室系統との比較ゲノム解析、分子生物学的解析等に使用予定。
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