2020 Fiscal Year Research-status Report
Eradication of substandard and falsified medicines by means of efficient modern technologies
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19KK0236
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉田 直子 金沢大学, AIホスピタル・マクロシグナルダイナミクス研究開発センター(薬), 助教 (20565428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Rahman Mohammad 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任助教 (50836369)
小出 達夫 国立医薬品食品衛生研究所, 薬品部, 主任研究官 (40321856)
坪井 宏仁 金沢大学, 薬学系, 准教授 (20319338)
木村 和子 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任教授 (80324094)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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Keywords | 偽造医薬品 / 低品質医薬品 / 低品質薬・偽造薬検出法 / ラマン散乱分析 / 溶出試験 / ケミカルイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
低品質薬・偽造薬(SF薬)の駆逐を目指して、SF薬が跋扈するネパールにおけるフィールド監視で、新技術によるSF薬検出とSF薬の成因・系統の同定への応用を検討するため、令和2年度は、COVID-19蔓延状況でのサンプリング実施方法の検討・見直しを行うとともに、別の医薬品サンプルを対象に、分析法の応用可能性を検討した。 1.サンプリング方法の見直し:ネパールの共同研究者との協議の結果、日本人研究者の現地サンプリングへの参加は見合わせ、ネパールの共同研究者のみにより、サンプリングを実施することとした。実施時期については、COVID-19蔓延状況を見計らって、十分な感染対策を講じた上で、できるだけ早い時期に実施する。サンプリング地域と対象医薬品は変更しない。 2.NIR-CIによる低品質薬の成因解明:別の研究で入手した東南アジア流通医薬品の1つ、ロキシスロマイシン錠について、NIR-CIを用いて、錠剤内部における成分の分散状況を可視化した。先発品において、含有成分は均一に分散していたが、低・中所得国で製造されたロキシスロマイシン錠の一部において、含有成分が凝集していることが明らかとなった。成分凝集の原因として、製造工程での不適切な混合または成分の特性が考えられ、その製造工程の見直しの必要性が示唆された。ネパール流通医薬品を対象とした場合にも、本分析により、低品質薬の成因追究ならびに改善策について提言できる可能性が示された。 3.蛍光指紋分析:新技術によるSF薬検出法として、蛍光指紋分析に着手した。簡便に定性・定量が可能な分析法として期待される。現在、固体製剤を溶解させた上清を用いる液体の測定と非破壊的な固体での測定を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19パンデミックにより、日本人研究者のネパールへの渡航とネパールでのサンプリング実施が不可能となった。そのため、未だ、本研究の分析対象であるネパール流通医薬品を入手できていない状況にある。 携帯型ラマン分光装置を用いたフィールドでのSF薬検出、3錠平均溶出率/最小溶出率法を用いた溶出不良薬検出、およびNIR-CIによる低品質薬の成因解明について、現在流通している医薬品を対象に有用性評価等を行い、ネパールへのフィードバック、社会実装に向けた改良等を行う予定であった。しかし、対象医薬品の入手が困難であることから、これまでに別途入手した医薬品サンプルを用いて、一部の分析法について検討を開始した。 また、研究期間中に、新たな分析手法として、蛍光指紋分析による低品質薬・偽造薬検出に着手し、簡便に成分の定性・定量を実施できる分析法の確立に向けて検討を開始した。現在は、ネパールでのサンプリング対象となっているアモキシシリン/クラブラン酸配合錠について、液体試料と固体試料(非破壊分析)それぞれについて、日本国内流通品と国外流通品を用いた蛍光指紋分析による製品識別の可能性、定性・定量限界等を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
日本人研究者のネパールへの渡航が非現実的となったことから、サンプリングをネパールの共同研究者に委託することとした。 ネパールでのCOVID-19蔓延状況を随時確認し、サンプリングの実施時期を見計らっていたところ、ネパールの共同研究者との協議により、早ければ2021年6月頃、感染対策を十分に講じた上で、サンプリングを実施することとなった。サンプリング地域は、当初の予定通りKathmanduとSaptariとする。対象医薬品も、当初の予定から変更せず、アモキシシリン/クラブラン酸配合錠、セフィキシム錠、エソメプラゾール腸溶錠(腸溶錠は日本未承認)およびパントプラゾール腸溶錠(日本未承認医薬品)とする。サンプリングに必要な記録用紙(サンプリングフォーム)等、必要書類については、日本人研究者が準備する。サンプラーのトレーニングについては、web会議システムを利用して実施する。サンプリング終了後、適切な手続きを経て、サンプルを日本へ輸送し、金沢大学にて品質試験等を開始する。 日本人研究者は、サンプル到着までに、各種分析のバリデーション等を実施し、サンプルの分析に備える。 COVID-19蔓延により本研究課題の進捗が遅延した分、研究期間の延長申請もやむを得ないもののと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:当該年度内に予定していたネパールでの医薬品サンプリングがCOVID-19拡大により延期となったため、サンプリング経費(医薬品購入、サンプラーへの謝金、梱包・輸出にかかる費用等)ならびに医薬品サンプル入手後に実施する品質試験・各種分析に必要な経費が次年度使用額として生じた。 使用計画:サンプリング経費ならびに各分析に必要な物品の購入等に使用する。
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Research Products
(2 results)